虎ノ門ヒルズから歩いてすぐの「Attivo(アッティーボ)」。坂川光平シェフは品川「アロマクラシコ」、青山「ドンチッチョ」、元麻布「アルヴェアーレ」といった有名店で腕を磨いたのち、2022年秋に当店を開業しました。
店内はグレーの壁紙に木目が映え、落ち着きのある印象です(以上の画像はヒトサラ公式ページより)。カウンターエリアとテーブルエリアに分かれており、いずれも7-8席の用意があります。カウンター席は目の前がキッチンでライブ感抜群。
ワインはイタリア産が殆どで、安いボトルは6千円台からと親しみ易いラインナップです。料理に合ったものをシェフ自らチョイスしており値段もお手頃。実に誠実なお店です。
お通しにパネッレ。シチリアの郷土料理であり、ひよこ豆のペーストをサクっと揚げました。あちこーこーで、泡でグイっと飲み下す。
マダイカルパッチョ。ムチっとした食感で筋肉質。魚そのものの味わいが強く、味付けも洒落ています。
百合根のフリット。ゲンコツサイズの上質な個体を気前よくバクバク頂きます。糖度が高く、エレガントなサツマイモのような味わい。カラスミの旨味との対比が心地よい。
イカスミのパスタ。ソースに深いコクがあり、麺と合わせてもうそれだけで美味しいのですが、そこへホタルイカが山のように投下されてとっても贅沢。これは旨い。日本酒が欲しくなる。セリのシャキっとした食感が程よいコントラストを奏でます。
ショートパスタにはホロホロ鳥。独立した肉として食べることの多い食材ですが、なるほどこうしてクタっと煮込むのも良いですね。肉汁の風味を活かしたソースがとても美味しい。
自家製のパンも密度があってジューシー。これにハムとか挟んでサンドイッチとして食べたいぽよ。メインは「あいち鴨」。愛知県豊橋市で丁寧に飼育されているブランド品です。肉そのものの味が濃く、パワフルでありながら余韻は実にエレガント。皮目の脂や肉汁の一滴一滴まで旨く、素晴らしいメインディッシュでした。
もう少し食べようということで、ここからはアラカルト注文。北海道のホウレン草とグアンチャーレ(豚ほほ肉の生ハム)を用いたシンプルなパスタであり、食べ疲れせず身体にスっと溶け込む味覚です。
スペシャリテのアマトリチャーナ。トマトベースのソースであり、玉ねぎの奥ゆかしい甘味が心地よい。中央のブッラータを少し崩してクリーミーに味変を進めます。
デザートはパンナコッタ。和三盆を用いているそうで、優しい重みが暴飲暴食した内臓に優しい。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のコース料理が11,000円で、ガンガン飲んでアラカルトでも追加してお会計はひとりあたり3万円弱。これは激甚な飲食の結果であり、普通の飲食量であれば2万円で充分にお釣りがくるでしょう。
いずれの料理もストレートに旨く、シンプルで分かりやすい美味しさです。21時以降はアラカルト注文にも応じているそうで、深夜3時まで営業と心強い。鉄人か。2次会としても超ハイレベルな料理を楽しむことができるのは私嬉しい。次回はアラカルトでお邪魔したいと思います。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。