小禄駅から歩いて5分ほどの場所にある「島キュイジーヌ あーすん」。ゴエミヨに掲載された話題のフランス料理店です。イオン那覇近くの住宅街にあって、バブル期に建てられた個人の大邸宅を改装したそうです。
玄関で靴を脱ぎ、使い捨てのスリッパに履き替えてダイニングへと向かいます。このあたりの動線は完全に個人の家であり、奇妙な居心地の良さを感じます。全体として内装は明るくグリーンも映えるので、ランチタイムにお邪魔するのも良さそうです。
小林拓真シェフは東京のイタリアンや日本料理店で経験を積み、オーストラリアでも腕を振るっていたようです。帰国後は「星のや竹富島」の厨房を預かったのち、当店の料理長に就きました。
ディナーは8,800円で、ドリンクのペアリングを付けても13,000円と大変お値打ち。ソムリエは料理に合わせた面白いワインを発掘しており、やはりワインは値段だけで語れない部分が大いにあります。
アミューズは揚げたての小さなコロッケ。あちこーこーなベシャメルソースが詰まっており、中には島ダコが組み込まれています。島ダコのグニグニとした食感が食欲を刺激します。久米島産の車海老は半生状態で。月桃で軽く包んで香りを移しつつ、エビの甘味を楽しみます。
チラ汁。「チラ」とは豚肉の顔を指し(チラガーのチラね)、たっぷりのキャベツと共に頂きます。豚肉のコクにキャベツの甘味が溶け合い、優しい優しいひと品です。
県産の旬野菜の盛り合わせ。このひと皿で20近い食材が組み込まれており、いずれの野菜も力強い味覚。ペースト状のものも含めてオシャレな味覚であり、当店の象徴的な料理と言えるでしょう。
今帰仁アグーのハンバーグ。ミッチリと密度の高い肉な味に舌鼓。トッピングのゴボウの土っぽさも合っていて、このひと品を300グラムぐらい大量に食べたい衝動に駆られます。優しく火を入れたサワラ。かなり分厚いカットで肉のような食べ応えがあります。エビのお出汁を用いたスープやイナムルチー(沖縄の白味噌)を用いたペーストなどの工夫もあり、記憶に残る魚料理です。
メインディッシュは今帰仁アグー。バリっと実直に焼き上げたものであり、赤身の逞しさと脂の繊細な甘さを同時に楽しみます。付け合わは「タカアンダー」という在来品種の大豆だそうで、レンズ豆のような口当たりがフランス料理的で面白い。
デザートにはやんばる産のみかんを用います。ジューシーな果肉が印象的で、上品な仕上がりのソルベと共にエレガントなひと品です。
デザートにはやんばる産のみかんを用います。ジューシーな果肉が印象的で、上品な仕上がりのソルベと共にエレガントなひと品です。
お茶菓子はちんすこうと心憎い演出。ハーブティーと共に楽しみごちそうさまでした。以上のコース料理が8,800円で、ワインのペアリングも付けてひとりあたり1.3万円と大変にお値打ち。「Maison de Fujii(メゾン ド フジイ)」に勝るとも劣らない費用対効果です。
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寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
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