中目黒駅から目黒駅方面に歩いて10分ほどの場所にある「YASAKA (ヤサカ)」。スタンレー電気の本社の裏っかわであり、マンション1階にあり全く目立ちません。何も知らない人がふらりと訪れるには難しいロケーションでしょう。
店内は想像以上に広く、焼き場を取り囲むカウンター席に加え、テーブル席もたくさんあります。これほどの大箱をひとりで切り盛りする店主のオペレーション能力の高さには恐れ入る。場所柄、子連れ客が多いのが特徴的ですが、ぼっち参戦するゲストもそこそこいます。
酒が安く、ビールは600-700円程度であり、焼酎なんてコップになみなみ入って500円。ボトルで飲むと一層お得で、ご近所住みであればボトルキープ間違いなしの価格設定でしょう。
お通しは野菜スティック。ケチな店であればこれだけで700-800円は請求されそうな勢いのボリューム感です。こういうお店が増えればお通し要・不要論争なんて無くなると思うのだけれど。まずは一品料理を注文。こちらは菜の花の胡麻ドレッシング和えであり、濃い緑の味わいに香ばしい海苔の風味が良く合う。
鳥わさ。実にクリアな味わいでありスラスラと引っ掛かりなく食べ進めることができます。薬味がたっぷりなのも嬉しいですね。
もつ煮込み。クニクニとした食感にコッテリとした味噌味が酒を呼びます。こちらにも大根・ニンジンが大量に投下されており、冒頭の野菜スティックを含め大根とニンジンが好きなお店なのかもしれません。
焼鳥は10本コースでお願いしました。まずは「ねぎま」。思い切りの良い火入れでありネギなどは黒焦げに近いですが、その特有の香ばしさが食欲を増進させます。
手羽先。皮・肉・骨が三位一体となった逸品であり実にジューシー。手づかみで骨にしゃぶりつくんだぜ。
つくねとレバーはタレで頂きます。つくねはハンバーグのように食べ応えがありライスが欲しくなります。レバーも鉄と血を感じる大人アリな関係性であり、赤ワインが欲しくなりました。
ハツモト。その名の通り心臓の付け根部分の希少部位。ジューシーでありながらも弾力を感じさせ、他の肉類では表現しづらい食感と言えるでしょう。
これは何という串だろう。エビを肉でグルグル巻きにした一本であり、中華料理の赴きすら感じさせます。今あなたが想像している通りの美味しさであり、グビっとビールをやって至福のひと時。
皮とハツ。プルプルと口腔内で跳ね回る歯ざわりで後を引く美味しさ。他方、ハツはサクサクとした食感で、スナックとして無限に食べ続けたい軽やかさです。
こちらはコンニャクを肉で巻いています。ちょっとした企画モノですが、コクのある肉の味わいにピリ辛のコンニャクが個性的な味わいを演出します。
10本コースの〆は空豆。丁寧に開封の儀を執り行い、青く健康的な味わいを堪能します。
追加で焼きおにぎりを追加すると、なんときりたんぽのような棒状でやってきました。醤油を塗っているだけでなくカツオ節も練り込まれており、夏祭りを想起させる味覚です。
以上を食べて軽く飲んでお会計はひとりあたり5千円ほど。とみに高級化が進む都心の焼鳥屋を横目に素晴らしい費用対効果を披露してくれました。加えて、店主のお人柄も居心地の良さを演出してくれます。ワンオペであれだけの仕事をこなしつつ笑顔で接客する心の余裕。サウイフモノニ ワタシハナリタイ。
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焼鳥は鶏肉を串に刺して焼いただけなのに、これほどバリエーションが豊かなのが面白いですね。世界的に見ても珍しい料理らしく、外国人をお連れすると意外に喜ばれます。
- 鳥しき/目黒 ←究極の普通。
- かさ原(かさはら)/神楽坂 ←客単価3万円オーバーという狂気。
- おみ乃/神谷町 ←「焼鳥と日本料理の融合」という新機軸。
- 鳥さわ/亀戸 ←焼鳥業界の最高峰「鳥しき」ののれん分け。
- とり澤(torisawa)/中目黒 ←グループの中では予約が取り易い。
- YASAKA (ヤサカ)/中目黒 ←サウイフモノニ ワタシハナリタイ。
- やきとり阿部/目黒 ←酒が安い。
- やきとり陽火(はるか)/白金高輪 ←滞空時間の長いホームランのような食事。
- シノリ(Shinori )/武蔵小山 ←フレンチ焼鳥。焼鳥屋としてトップクラスに好きなお店。
- 床島/三軒茶屋 ←ふたりで好き放題飲み食いして12,000円程度。
- 鳥政(とりまさ)/表参道 ←ランチの焼鳥丼が最高。
- 白金鳥とも/白金台 ←鳥政独立組はやっぱり最高。
- 鳥竹 総本店/渋谷 ←何この費用対効果信じられない。
- やきとり 嶋家/麻布十番 ←無名ですがオススメです。
- 【保存版】ミシュランを300店訪れた私が選ぶ、鳥貴族おすすめメニュー7選 ←番外編。