日本からの旅行者にとって新竹とはビーフンが名物ですが、ローカルにはココ「許二姊(鴨肉許)」がトップクラスの人気を誇ります。イートイン・テイクアウト共に大人気の食堂であり、台北の人がわざわざ新幹線に乗って食べに来るほど。観光名所である「新竹都城隍廟」から歩いて数分であり、観光客にとっても有難い立地です。
平日の14時というヘンテコな時間に訪れたにも関わらず店内は満席に近い。英語や日本語は全く通じませんが、店のオバチャンがオーダー表を手渡し「ココに食べたいものを記せ、空いている好きな席に座れ」と身振り手振りで案内してくれます。
肉のみの注文の場合は入り口近くのショーケースまで行き、「コレが食べたい!」と指させば何となく上手くやってくれます。通は部位ごとに指定するそうですが、我々は「1/4」という、恐らく1/4羽を適当に盛ってもらえるように雰囲気で注文しました。あくまで雰囲気です。
「炒青菜」は漢字の通り青菜の炒め物です。素朴な料理ですが不思議と後を引く美味しさ。たっぷりのニンニクと唐辛子の辛味がアクセントとして飽きさせません。
雰囲気で注文した「1/4」。これで1/4というボリューム感なので、「鴨肉」と銘打ってはいるものの、そのサイズ感から恐らくはアヒル肉でしょう(中国語でそう表現するのがスタンダードなのかどうかは知らない)。皮付きでゼラチン質を楽しむ部位や肉汁がジューシーな部分、肉そのものを楽しむ箇所など多彩な味覚を楽しむことができます。程よく薫香が感じられるのも食欲を刺激してマンモスうれピー。
「炒鴨肉麵」は焼きそば的なものを期待していたのですが、それなりにスープ(?)も含まれており、日本のラーメン界隈で言う「まぜそば」のような料理です。そのスープが程よく甘く実に濃厚で、ニラの風味も効いており福岡のモツ鍋の〆の麺のような、クセになる旨さです。
以上の注文の合計金額が2千円程度であり、2人でシェアして食べ切れない量であったことを考えれば信じがたい費用対効果です。とりわけ「1/4」の美味しさは初見殺しであり、日本の客単価5万円の中華料理店で食べるものよりも全く美味しい。半導体関連の出張で新竹を訪れた際は必ず訪れましょう。必ずです。
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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)/幡ケ谷 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- 中華銘菜?陽(センヨウ)/東高円寺 ←率直に美味しくアラカルト可なのが嬉しい
- サエキ飯店/目黒 ←切れ味抜群
- ShinoiS(シノワ)/白金台 ←めちゃ美味しいんだけれど高いんだよなあ
- 4000 Chinese Restaurant/西麻布 ←王道中の王道の中華料理ですげえ旨い
- センス(Sense)/日本橋 ←あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境
- 南方中華料理 南三(みなみ)/四ツ谷 ←素晴らしい、何も言うことは無い
- 蓮香(レンシャン)/白金高輪 ←日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力
- 中華バル 池湖(いけこ)/渋谷 ←度を越した費用対効果
- 飄香/麻布十番 ←十番のランチではトップクラス
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- VELROSIER (ベルロオジエ)/河原町(京都) ←フランス料理みたい
- 開化亭(かいかてい)/岐阜駅 ←過剰なものは何も無く、足りないものも何も無い
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン
本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたいかた必読の書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。客に日本人は殆どいないのですが、コロナ禍で海外に行けない今、ある意味では海外旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。