大阪屈指の繁華街、北新地でミシュラン1ツ星に輝く「串かつ凡(くしかつぼん)」。銀座やパリにも出店を進める勢いのある串カツグループです。
その日のうちに東京に戻る必要があったのでディナーの早い時間にお邪魔しましたが、ゲストの殆どは同伴カップルでした。とは言え北新地は東京で言うところの銀座みたいな街であり、ホステス達の職業意識も高いので、西麻布でラウンジ嬢が大炎上、なんて気配は微塵もありません。
場所柄アルコールは高め。この小さなコップの生ビールが千円近くしました。とは言えボトルのワインは5千円台から用意されており、東京のこの手の飲食店に比べると良心的と言えるかもしれません。
サラダ常にカウンター脇に待機しており、梅肉ソースと合わせてこれが実に旨い。野菜の種類も豊富で新鮮。町のキャベツだけの串カツ屋とは立ち位置が異なります。
さっそく串カツに入ります。まずはトラフグ。独特の塩気とゼラチン質が美味。
こちらはシャトーブリアン。シャトーブリアンを串カツにする必要なんてある?と懐疑的に臨みましたが、悔しいが旨かった。悔しいが旨い、それがシャトーブリアン。
こちらは「魚介スペシャル」とのことで、魚介を中心にチーズやら何やらで色々と詰まっています。食べる部位によって味覚が移り変わるのが面白い。
タケノコ。衣(?)にカツオ節を起用しており、品のある旨味に酔いしれます。ビジュアル的にも面白く、アイデア賞な1本です。
車海老。これはもう、問答無用に美味しいですね。プリプリとした身が素敵にカラっと揚がっており、完璧な味わいです。
地鶏の「丹波黒どり」ですが、何故かトリュフが乗っています。悪くはないですが、意図がよくわかりませんでした。
子持ち昆布にはウニとキャビアが乗っています。こちらも潮の香りが漂って美味しいは美味しいのですが、一緒に食べる必要性を感じませんでした。とても別々で良いです。
シイタケは小ぶりなサイズで凝縮感があって美味。「お山のたいしょう」の「たいしょう揚げ」のようなクソデカサイズとはまた違った魅力が感じられます。
フォアグラにつき、フランス料理界隈の一員として日常的に接している身としては、もう少し頑張って欲しいところ。ただ揚げただけのシンプルな調理なので、であればこそハイクオリティな個体が求めらえるような気がします。
お口直しに稲庭うどん。もちろん美味しいのですが、意図は掴めず。当店はこういった「美味しいけれど目的がわからない」ことが多いような気がします。もちろん私の理解が不足しているだけという話もあります。
その後もジャンジャン串カツは続き、合計で20本が登場します。このあたりは外観が似通っていてどれが何だったか分からなくなってしまいましたが、かぶら、クエ、カニクリームコロッケ、海老芋、フグ皮のしんじょう、TOKYO X(豚肉)、白子、ニンジンのムースあたりが出てきたと記憶しています。すき焼き。え?すき焼きの串カツ?なのですが、きちんと牛肉と玉ねぎが一体となって上がっており、すき焼きすき焼きしています。よく煮たしらたきなども面白い演出です。
チーズとトマトをバジルの風味を効かせて揚げちゃいました。なるほどマルゲリータのような楽しさがあり、生ハムの塩気でワインをクイっといっちゃいます。
串カツ屋のスター選手とも言うべきグリーンアスパラガス。王道中の王道とも言うべき味わいで素直に美味しかった。〆の食事はデフォでは牛とタケノコのゴハンなのですが、追加料金で牛カツサンドに変更してもらいました。このタイミングで食べるには激しい量ですが、パンは軽く牛カツは少しもクドくなく、牛カツサンドに変更して本当に良かった。
デザートは4種類からの選択制で、私はフォンダンショコラ、連れはアイスクリームをチョイス。最後までしっかりと串カツであり、楽しませてくれるスイーツです。
以上を食べ、ビールにワインを1本飲んでお会計はひとりあたり2万円強。串カツの代金としては高価に感じますが、用いる食材や立地、サービスの充分さを考えればリーズナブルと言えるでしょう。企画モノのタネが多く賛否は分かれるはずなので、シャレの分かるグルメ仲間と共にどうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。