ヒルトン長崎(Hilton Nagasaki)

2021年秋に開業した「ヒルトン長崎(Hilton Nagasaki)」。西九州新幹線が開業した長崎駅の西口正面に位置しMICE施設「出島メッセ長崎」に隣接しており、ビジネスにも観光にも抜群の立地を誇ります。
ロビーは2階。全200室のホテルとしてはかなり立派なレセプションです。「ホテル虎ノ門ヒルズ(Hotel Toranomon Hills)」なんて同規模でパン屋のレジみたいな誂えやからな。ダイヤモンド会員はエグゼクティブラウンジでのチェックインが可能のようですが、空いていたのでこのままココでチェックインを済ませました。
お部屋は恐らく「エグゼクティブデラックスルーム ダブルツイン」にご案内頂けました。恐らく、と記したのは、当館は部屋のバラエティに乏しく、公式ウェブサイトの写真を見てもどれも同じ感じに見えるからです。そういう意味で、出張者のように夜に寝に帰るだけの方は一番安い部屋で充分でしょう。
逆サイドからの写真。ウェットエリアの壁をスライドさせて部屋と一体化させるつくりなので、31平米というスペック以上の広さを感じます。
窓からの眺望。浦上川を挟んで稲佐山を望むポジションです。このあたりは高層ビルが少ないため、ほんの少し高く昇るだけで絶景が広がるのだ。
クローゼットは扉付きで中々の容量を誇るのですが、デッドスペースを上手く使っているので圧迫感がありません。良い間取りだ。
ウェットエリアは前述の通りスライドドアでベッドルームと仕切る方式であり、広々とした印象を受けます。アメニティはディスペンサー方式のものでロマンの欠片もありませんが、最近のホテルはどこも皆そうなので、世界は変わってしまったのでしょう。
バスルームは31平米という部屋の総面積に比してかなり広く、しっかりとしたバスタブも置かれています。なお、6階に大浴場も用意されています。
お手洗いは最近のホテルらしく完璧に独立型でした。
冷蔵庫は空っぽで、ミネラルウォーターにコーヒー、紅茶などが用意されています。このあたりのサービスは割り切っており、ビジネスホテル的でもあります。
広々としたライティングデスクも用意されており、PC2台を横に並べても広々です。ちなみにさっきから画面にキャストされているのはLIGHTSUMがSpice Girlsの"Wannabe"をカバーするという興味深い試みのミュージックビデオであり、"Wannabe"の世界観をきちんと引き継いでいて心なごみます。
11階のエグゼクティブラウンジにお邪魔します。エアポートラウンジのような雰囲気で、それほど広くはないものの、ゲスト数も少なく居心地が良いです。ティータイムであってもちょっとした軽食(オヤツでなくオカズ)が用意されていのるは珍しい。
カクテルタイムは17-19時に開催されており、他のヒルトンのエグゼクティブラウンジに比べると客層が良いように感じました。ホテル業界は時どき営業部門が売上をアップさせたいがために平会員向けのラウンジ利用プランなどをOTAに流してしまうことがあって、それをやると途端に客層が荒れ始め上級会員が割を食い離れて行くという本末転倒な事象に繋がるので、当館の姿勢はとても好ましく感じます。
とは言え用意されている料理は一般的なものであり、ツマミも写真のもので全種類(あとなぜかカレーがあった)なので、食事の代用とするには厳しいでしょう。あくまで食前酒を楽しむためのサービスです。
ところが、ある日のラインナップは妙に豪華であり、これでカレーを食べれば立派な夕食になるかもしれません。ビールはセルフサービスでなく、スタッフがサーバーから丁寧に注いで持ってきてくれ、ヒルトンのエグゼクティブラウンジとしては神対応です。
朝食につき、連泊したのである日は2階のオールデイダイニング「ディ・バート(De Vaert)」にお邪魔しました。こちらもダイヤモンド会員向けの専用エリアが設けられており、スパークリングワインなども提供されるので、やはり常連客にとても優しいホテルに感じました。詳細は別記事にて
6階にはフィットネスセンターと大浴場。フィットネスセンターは必要最低限といった機器数ですが、まあ、全200室という規模を考えればこんなものでしょう。
フィットネスセンターのお隣には大浴場。部屋からバスローブ&スリッパで訪れてはならず、きちんとした服を着て移動する必要があり、面倒なので利用しませんでした(写真は公式ウェブサイトより)。

一方で、このルールを適用することによりゲストにだらしない服装で館内をウロウロされることは無くなるので、これはこれで賢い仕組みだなと感心しました。上級会員の取り扱い含め、当館の支配人はロマンチストなのかもしれません。私もそうです。
快適なホテルでした。目立ったコンテンツはありませんが欠点も全くなく、一度として嫌な思いをすることはありませんでした。神経質な私にとってこれは結構すごいことだ。

2024年1月には目の前にマリオットが開業し、新幹線の開通とMICEの充実も相俟って出島2.0の時代が到来するかもしれません。TSMCに沸く熊本に続く次の九州スター県は長崎だと確信した滞在でした。

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ディ・バート(De Vaert)/ヒルトン長崎

2021年秋に開業した「ヒルトン長崎(Hilton Nagasaki)」のオールデイダイニング「ディ・バート(De Vaert)」。2階のロビーフロアに位置します。以前はコチラのビュッフェか日本料理店での和朝食を選ぶことができたのですが、現在(2023年12月)は当店一本に絞られていました。私悲しい。
ダイヤモンドメンバーは店内奥にある中国料理ダイニングのエリアに通されます。エグゼクティブラウンジにおいても感じましたが、当館は家族連れや外国人観光客が少なく、日本人の高齢者が非常に多いのが特徴的です。
ダイヤモンド会員向けの飲み物が用意されていました。スパークリングワインなど酒屋で千円程度の安物ではありますが、気にかけてくれているとの心意気は強く感じられます。
一方で、朝食のラインナップはとてもとても普通であり、良くも悪くも外資系ホテルの朝食ビュッフェの王道ど真ん中を突き進んでいます。同じヒルトンでも小田原富山のように、地産地消を意識し郷土料理に振り切ってくれたほうが旅行者にとっては嬉しいなあ。
いつも通りサラダにサーモン、シャルキュトリ。ううむ、この写真だけを見ると、どの国のどのホテルの朝食か判断がつきません。それぐらい特色の無いビュッフェです。
エッグステーションは自分で小鉢に具材を取り分け、それらを料理人に渡せばオムレツにしてくれるというありそうでないスタイル。時間は要しますが、出来立てをテーブルまで持って来てくれるので気になりません。
申し訳程度に「五島うどん」と「皿うどん」が用意されているのですが、いずれも全く気合いが入っておらず、「とりあえず責任は果たしましたからね」とでも言いたげな、ユーザーの神経を逆撫でするクオリティでした。
色々書きましたが、全200室という客室数の割にダイニングは広々としており、ヒルトン東京のような入店時の謎の行列も生じることは無いので使い勝手は良いでしょう。上級会員はエグゼクティブラウンジで朝食を摂ることができる上に、当レストランでも専用エリアが充分に確保されており、常連客にとても優しいホテルに感じました。

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BUGANVILLE HIROO (ブガンヴィッレ)/広尾

広尾の駅近で好評を博したピッツェリア「パルテノペ(Partenope)」が閉店し、しばらくの充電期間を経て「BUGANVILLE HIROO (ブガンヴィッレ)」として再スタート。窯やシェフはそのままで、「真のナポリピッツァ協会」の「VERA PIZZA」認定も引き継がれています。
平日のオープン1分前ほどに到着したのですが、シャッター組が10人ほども待機中。入店後も次々と客が流れ込んで来、あっという間に店内は満員となりました。店内は開店と同時に戦場と化し、スタッフたちはこれ以上ないというぐらいテキパキとしています。
ランチにはミニサラダが付随します。ミニと呼ぶには中々にしっかりとした量であり、味も上々。コンビニの同量のサラダとは一線を画すクオリティです。
サイドメニューは300円で追加注文でき、私は「豚肉の白ワイン煮」を注文。豚の三枚肉がじっくりと煮込まれており、まさにヨーロッパ風の豚の角煮。それこそ白ワインが欲しくなる味わいであり、この料理が300円で食べることができるのは私得。
ピッツァランチは1,200円なのですが、私は奮発して「D.O.C.(ドック)」を注文。牛乳ではなく水牛のモッツァッラチーズを用いた本格派であり、奮発といっても1,600円で楽しむことができるのは大変良心的です。
チーズのリッチなコクにトマトの甘味と酸味、バジルの爽やかな香りと、パーフェクトと評して良い味わいです。小麦の旨味がしっかりと伝わる生地も完璧な美味しさ。
正午までの入店であればアイスコーヒーかアイスティーが無料で振舞われます。ちなみに本日のデザートも300円であり、この日のそれはプリンでした。
美味しかった。このあたりのランチピッツァの王者は麻布十番の「SAVOY(サヴォイ)」だと信じてやまなかったのですが、水牛のモッツァッラチーズを用いた本格派が1,600円という意味では当店の奇跡っぷりも中々のものです。

もちろん「SAVOY(サヴォイ)」には2枚目900円という魅力的なプランもあり甲乙つけがたい。なんとも贅沢な悩みであり、港区民は実にピザ充です。

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東京はピッツァのレベルが恐ろしく高い都市です。世界的に見てもナポリの次の世界2位ではないでしょうか。百花繚乱の東京ピッツァ市場をまとめました。
本格的なピッツァ指南書。読むと論理的にピッツァを理解することができ、店での愉しみが広がります。もちろん家でピッツァを作る際のレシピにも。2,000円でこの情報量はお得です。

エルヴェ(élevé)/麻布十番

1年ぶりの「エルヴェ(élevé)」。六本木の名店「ル・ブルギニオン (Le Bourguignon)」で長く活躍した松田慧ソムリエが独立したワインバーであり、麻布十番は一の橋交差点から東へ数分の落ち着いたエリアに位置します。
早い時間にお邪魔したため貸切状態。当店はワインバーとしては驚異的な料理の質を誇るので、早めにお邪魔してフルラインナップで注文するのが私流。他方、夜遅くはツマミは限られるものの、2次会使いとしてブルゴーニュ古酒大好きマンが夜な夜な集まります。
前回はコースでお願いしましたが、今回はアラカルトで注文。まずは「牡丹海老と甘海老のタルタル ウイキョウと根セロリ」。ネットリと甘味の強い海老たちの饗宴が今夜の盛り上がりを約束してくれます。
続いて「鮟鱇とベーコンのロースト ウイキョウのソース」を注文。私のそう短くない人生において最もオシャレに食べるアンコウかもしれません。アンコウのエレガントな味わいにベーコンで旨味と塩気を補強し、ワインの進むひと品です。
パンは素朴ながら穀物の風味をしっかりと感じられるもの。基本的にソースがしっかりした料理が続くので、パンでソースを拭って食べるだけで立派なごちそうです。
メインは「ランド産仔鳩のロースト 醤油のソース」をチョイス。このようなややこしい肉料理をアラカルトで注文できるワインバーは東京広しと言えどかなり珍しいでしょう。客席数が少ないのでシェフが付きっ切りで管理してくれており、王道かつパーフェクトな美味しさです。
ブルゴーニュの値付けは良心的で、料理の値付けは更に良心的。しっかりとした食事にもワインだけでもと様々な用途に対応してくれる心強いお店。個人的には何度も通って料理をもっと色々食べたい。次はウズラを注文しようっと。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

MADAME LAN(マダム ラン)/ダナン

ダナンの観光客にとってトップクラスに馴染み深いレストランの「MADAME LAN(マダム ラン)」。ダナンの街に接する川沿いにあり、ベトナムじゅうの名物料理が集結する旅行者向けのレストランです。ハノイ旧市街の「Quán Ăn Ngon(クアン アン ゴン)」に似た方向性と言えば分かりやすいでしょうか。
店内はべらぼうに広く、中央の中庭席まで含めれば500席近くあるのではなかろうか。それでいて通し営業で、ヘンテコな時間帯(我々は14時頃)に訪れたとしても中々に座席は埋まっており、人気の程が伺えます。
観光客向けのレストランとは言え価格設定は良心的で、ビールなどは200円もせず、どの料理も千円を超えることはまずありません。我々は2人で腹いっぱい飲み食いしたのですが、それでもひとりあたり2千円程度で済みました。
まずはバインセオ。ベトナムじゅうで食べられている国民食ですが、地方によって食べ方は少々異なり、ダナンにおいてはライスペーパーで巻いて食べるのが主流です。
最初の数本については食べ方の説明を兼ねて、お店のスタッフが巻き巻きしてくれます。きちんと使い捨ての手袋までして衛生面の意識が高い。そういえばお手洗いもデパートのそれのように清潔でした。
こちらは豚肉で作ったつくねのような料理であり、レモングラスの風味がきいてとても美味しい。こちらにもライスペーパーと大量の野菜が付随し、健康オブ健康な逸品です。
こちらは生春巻きのエビはなくお魚のフライバージョン。この店のスペシャリテとして推しており、悪くはないのですがエビのほうが良かったなあというお気持ちです。やはり海を越えて世界で定番化した料理というのは理由があるのかもしれません。
〆の炭水化物にダナン名物の「ミークアン」。米粉で作ったきしめんのような平べったい麺を汁なしまぜそば的にした料理。骨付きの鶏肉やたっぷりの香草・野菜が添えられるのが特長的です。
味わいにつき、味付けや具材などは美味しいのですが、肝腎の麺がイマイチですねえ。やはり日本のラーメンつけ麺に慣れ親しんだ界隈にとっては、海外の麺料理はレベルが低く感じてしまいます(ただしイタリアは別格)。
前述の通り、以上を2人でシェアしてそこそこ飲んでお会計はひとりあたり2千円ほど。東京の物価からすれば信じがたい費用対効果であり、大大大大大満足のランチでした。もちろんそれぞれの料理につき専門店と比べれば見劣りする部分もあるかもしれませんが、予約不要の大箱で通し営業、かつ、ベトナムじゅうの名物料理が取りそろえられていることを考えれば観光客歓喜のレストランと言えるでしょう。初めてのダナンの際は是非どうぞ。オススメです。

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