nou（ノウ）／中目黒

中目黒駅から池尻方面に歩いて十数分。工場というか倉庫というか、殺風景な建屋の2階に入居する「nou（ノウ）」。私の大好きなフランス料理店「La gueule de bois（グルドボワ）」の並びにあります。
店内はカウンター席が10ほどにテーブルが1卓。内装も客層もスタッフもザ・中目黒といった雰囲気であり、中目黒の中の中目黒と言えるでしょう。いわゆるジャンルレスの無国籍料理であり、ハーブティーやドライフラワーのプレゼンテーションがサマになってます。
ワインはペアリングでお願いしました。世界中の手頃なワインを上手に組み込んでおり量もたっぷり。7千円という価格設定を考えればかなりの飲み応えです。また、チェイサーとして自家製のハーブティーをジャブジャブに用意してくれるので、「意地でも水でカネを取ってやろう」という姿勢の店とは一線を画す懐の深さを感じました。
アミューズはコンテを練りこんだスフレ生地に揚げた白子をトッピング。初っ端から手の込んだパンチのある料理であり、努力 未来 A BEAUTIFUL STARな旨さです。
カツオ。シンプルな調理でカツオそのものの味覚を楽しみます。底にはコッテリ目のソースとお茄子が敷かれていました。
スペシャリテの水餃子。具材には林SPFという銘柄豚を用いており、厚めの生地と共に爆イケな味わい。スープは白湯で、自家製マー油もたっぷり放り込まれており、食欲を掻き立てる香りに淫します。
お魚料理はサワラ。こちらもシンプルな調理なのですが、ソースに濃密な海老の風味が感じられ艶っぽい味わい。付け合わせのちぢみホウレン草も旨い。ちなみに店主とシェフは千葉出身のズッ友で、食材も千葉産のものを多用しているそうです。
メインは尾崎牛のイチボ。1万円を切るコース料理でこの食材を出すとは見上げた根性です。ソースは肉汁を活かした素材を邪魔しない味わいであり、肉ながらとても綺麗な料理に感じました。
〆の土鍋ゴハンはブリ大根。ゴハンにぶち込んで食べるのは初めての体験ですが、これが中々いけるクチであり、甘辛い濃密な調味と炭水化物の組み合わせの妙と言ったらない。脂もたっぷりだ。
デザートはチーズケーキ。土台となるチーズの味覚がつよつよで実に濃厚。先のゴハンもしっかりした量だったので、すっかりお腹いっぱいです。
ほろ苦いほうじ茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のコース料理が1万円弱で、ワインのペアリングにサービス料を含めてお会計はひとりあたり1.8万円ほど。質と量を考えれば大満足。

一方で、この価格設定であれば食材に限界があるのも確かであり、センスの良さを考えれば予算を増やしてもっともっと美味しい料理を作ることができる気もしました。是非とも高価格帯のプレミアムnouをオープンし、その持ち合わせる才能を存分に発揮してもらいたいと思います。

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