クイーン・アリス（QUEEN ALICE）／横浜ベイホテル東急

「料理の鉄人」の初代フレンチの鉄人、石鍋裕がプロデュースする「クイーン・アリス（QUEEN ALICE）」。みなとみらいは横浜ベイホテル東急の3階に入居します。食べログでは百名店に選出。
「不思議の国のアリスが訪ねてくるようなレストラン」がテーマのお店だけあって、ピンク中心のメルヘンな空間です。若干ガーリーすぎるきらいがあるので、大人のカップルが訪れるには不釣り合いかもしれません。我々がそうです。
料理に合わせた泡・白・赤のワインセットは6千円。ホテルのダイニングでの提案としてはお値打ちですが、プリフィックスメニューからバラバラな料理を注文したとしても結局出てくるワインは一緒なので、グラスワインの抱き合わせ販売程度に捉えておくと良いでしょう。
アミューズはカツオのたたき。真っ直ぐなカツオのたたきであり、最初のひと口としてはパワーがありすぎる気がしました。ちなみに平日限定のサービスのようです。
我々はプリフィックスディナーコースを注文し、私は前菜として「贅沢サラダ」をチョイス。なのですが、実際は海の幸がテンコ盛りとなった一皿であり、これは嬉しい誤算。高級日本料理店のキメのひと皿級の存在感がありました。
温前菜は「宮城県産ホヤのソテー 焦がしバターソース」を選択。ホヤは独特の風味のある、好き嫌いが分かれる食材の代表格ですが、この日のそれは実に清らかな味わいであり、クセがあるといってもムール貝程度です。ある意味リッチで濃厚なムール貝といった味覚で意外性のあるひと品でした。
パンは全然イケてないですね。バゲットは超普通で、謎のカップケーキ的なブツも意図が分かりませんでした。
気を取り直して「カブとカリフラワーの冷製ポタージュ」。これは素直に美味しい。カブの甘味とカリフラワーの深みをバランス良く楽しむことができ、冷蔵庫に常備したいくらいです。
お魚料理は「鰤のグリエ バジル風味のオランデーズソース キノコのソテー添え」なのですが、これはちょっと盛りがダサい。いわゆる昭和の披露宴的なプレゼンテーションであり、ゴチャゴチャと色々のってはいますが全てがバラバラの風味であり、味わいに調和は見られませんでした。
お口直しも取り合えず出したといった程度であり極めて披露宴的です。
メインは「骨付き仔羊肉のグリエ 黒オリーブのソース カレー風味のチーズコロッケを添えて」なのですが、その豪勢な題名の割に料理は普通のラムでした。飛行機の食事メニューぐらいの大げさ感があります。
デザートに入るのですが、やはり宴会料理の一環で、流れ作業的な位置づけに感じられました。甘味は出しゃあいいってもんじゃないぞ。
メインのデザートは選択制であり、私は「アリス風ぜんざい」をチョイス。小豆ではなくレンズ豆を煮るアイデア商品ですが、やはりプレゼンテーションが激ダサい。
お茶菓子のボンボンと紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。温前菜までは悪くなかったのですが、主力の魚と肉で急に失速し、デザートはすっかり消化試合といった食後感。「クイーン・アリス（QUEEN ALICE）」という看板に頼り切ったパッケージ商品であり、振り返ってみれば総じて退屈な料理が続き、料理人の顔が全く見えない食事でした。

それでもサービス陣はくじけずに頑張っていたので、そういう意味ではホテルのダイニングらしいと言えばらしいかもしれません。お疲れさまでした。

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