TROIS VISAGES (トワヴィサージュ)/東銀座

新橋・東銀座・築地中央と3つの駅の重心にある「TROIS VISAGES (トワヴィサージュ)」。2022年4月にオープンしたフレンチレストランであり、店名はフランス語で「3つの顔」を意味します。ミシュラン1ツ星。
店内は厨房に面したカウンター席が10にテーブルと個室。カウンターと言っても広々としており、北欧系の家具も多用した今風の誂えです。各席に配された器を開くとたっぷりのお花とハーブに単語帳風のメニューが詰め込まれています。
國長亮平シェフは私も大好きなフレンチ「ル・マンジュ・トゥー(Le Mange-Tout)」で9年間腕を磨き、渡仏後も有名店をいくつか経て経験を積みました。帰国後はビストロやケータリングを経て当店の厨房を預かります。
ワインリストはフランスワインが殆どで、ザ・フランス料理なラインナップです。値付けがどうというよりもボトムの価格設定が高いので、君たちは銀座やなあというお気持ちです。
アミューズが凝っていて、今後の展開を期待させる調理技術の高さです。釜揚げシラスのタルト(?)みたいなやつが泡にピッタリだ。
真鯖のタブレ。サバ特有のジットリとした旨味を楽しむ逸品。発酵させた(?)ブルーベリーを用いたソースもオシャレな味わいです。
この筒状の物体は何とレンコン。シャキシャキとした食感を残しつつも上手く造形を保っており楽しいひと皿。ハーブの香りとマスタードソースのパンチ力も素直に美味しい。
パンは自家製で、十六穀米が入っているんだっけな。穀物の風味が豊かで、皿に残ったソースをつければそれだけでもう絶品です。
ソーセージと見せかけて、これはエノキでできています。が、これは全然美味しくないですね。手を加えすぎというか何というか、そんなにエノキの質が良いのであれば普通にバター醤油炒めで食べたい。
カサゴのフリット。衣にはグラノーラを用いているのかザクっとした歯触りが心地よい。ソースはブイヤベースを煮詰めたような液体で、海の味覚がギュウギュウに詰まっています。
お口直しにブロッコリー。フルーツを用いたグラニテを出すお店が多い中、ブロッコリーを用いて氷菓(?)のように仕上げます。これは手が込んでいて意識が高く興味が深い。
メインは鴨のロースト。鴨そのものの味を楽しむストレートな調理で好印象。付け合わせのポワローねぎも大容量でどっしりとした食べ応え。食材のエキスを活かしたソースも文句なしの美味しさです。
スープも出ます。川俣軍鶏を用いたコンソメであり、肉の旨味と野菜の甘味を同時並行に楽しみます。
デザートひと皿目は柿のミルフィユ。柿を薄切りにして重ね合わせ、丸ごとかぶりつく際とは全く異なる食感を演出する。仄かに香るキンモクセイも洒落ています。
和栗のサントノレ。パイ生地にクリームを重ねキャラメリゼしたシューをのせる王道のフランス菓子ですが、今回は和栗を主軸に置いています。栗の風味をクリアに繰り入れたクリエイティブなひと品であり、生地のクリスピーな食感とクリームのクリーミーな舌触りが良く合う。友人のクリニックに繰り返し差し入れたいぐらいです。
お茶菓子も凝っていて、とりわけヴァニラの風味をきかせたういろうが印象的。シェフは山口県出身で、彼の地のういろうはわらび餅風にモチモチプルプルしているとのことです。
以上のコース料理が1.5万円ほどで、ひとり1本近く飲んでお会計はひとりあたり3万円弱といったところ。立地や店のカッコ良さ、料理の美味しさを考えればリーズナブルな価格設定でしょう。

一方で、コンセプトありきの流行店のようにも感じ、その枠の中にシェフの才能が押し込められてしまっているようにも感じました。自由に演技してもらったほうが、もっと美味しい料理作ることができるような気がする。「ポ ブイユ(Pot-Bouille)」のような、旨けりゃなんでもアリの異種格闘技にも参戦してもらいたいところです。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
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