日本酒のペアリングで名を馳せた「GEM by moto」がコロナ禍の休業と店舗改修を経て「ミズノトリ」として再始動。店名は(部首の)サンズイにトリ(酉)ということで、要するに酒です。恵比寿と広尾の中間地点で、恵比寿から歩いた方がちょっと近いかな。
店内はカウンター席が中心で、スタッフから日本酒の説明をじっくり聞くに最適な誂えです。奥にはテーブル席もありますが、やはり当店は1-2人でカウンター席に着くのが王道の楽しみ方でしょう。深津麻紀シェフは「GEM by moto」時代から厨房を統べてきた方です。
ペアリングが自慢のお店なので、お酒選びは全てスタッフにお任せ。日本酒自慢と言えば「すし初(すしはつ)」が私の推しですが、あちらとはまた違った方向性のラインナップで私とても楽しい。日本酒担当のにいちゃんも日本酒愛に満ち満ちており、その思いの強さが接客姿勢に滲み出ています。
また、意外にも外国人客が多く、みな熱心に日本酒に取り組んでいるのが嬉しいですね。こうして日本のファンが増えると有事の際に国際世論が日本の味方についてくれるので、当店のように外国人観光客に優しく親切に接するお店は大好きだ。
お通しの鶏モツスープ。これでもかというほど鶏のエキスが詰まったスープであり、それでいて実にエレガント。このまま麺を投入して上品なラーメンとして楽しみたいくらいです。白子。とろりとした口当たりと濃厚な味わいが日本酒にピッタリです。
「五穀米と八品目のおつまみサラダ」にはチーズなども含まれており、五穀米の食感と相俟って「クリスプ サラダ ワークス(CRISP SALAD WORKS)」を想起させる味わいです。
「クミン豆餅」は焼いたお餅にクミン主体で味付けしたミンチ肉を乗せた逸品。シンプルな料理なのですが、クミンのオリエンタルな味わいが食欲を刺激します。
春巻きが美味しいですねえ。これでもかというほど高温でガリっと揚げており外皮が実に香ばしい。他方、内容物には液状化現象が生じておりドロリとした食感。こちらもスパイスを用いて調味しており、日本酒との組み合わせの新機軸を見ました。
「ミズノトリの肉じゃが」は度肝を抜く出で立ちで登場。ジャガイモがペースト状になっており、どこかの国のソウルフードのような装いで、それでいて口に含むと肉じゃが味なのが面白い。「Robata OYAMA(ロバタ オヤマ)」とはまた違ったベクトルでの提案です。
「ミズノトリナゲット」には砂肝や鶏のおこわ(?)などが含まれており、フランス料理の詰め物系料理に似た味わい。バーベキューソースとマスタードソースというマック的な方針も洒落がきいています。
「サバの巻いた奴!」はサバの海苔巻きなのですが、シャリの部分がおからに置き換えられており、罪悪感なく締めくくることができます。と思いきや、思いのほか旨味が強く酒をおかわりしてしまった。きりがない。
以上を食べ、欲望の赴くままに飲みまくってお会計はひとりあたり1.3万円といったところ。多種多様な酒をこれだけ飲んでこの支払金額はリーズナブル。日本酒と言えばオッサン臭い飲み物というイメージがありますが、当店で楽しめばその価値観が覆されることでしょう。日本酒嫌いのギャルにこそ訪れて欲しいお店です。
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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
- マッシュルーム(MUSHROOM) ←3皿取ってデザートやお茶までついて3,500円ってむっちゃ安くない?
- アリゴトゥール(Aligoteur Que du bonheur) ←美味しいを突き詰める旨いもの屋。
- 筑紫樓(つくしろう) ←ランチタイムは社会貢献活動かもしれませんが、それにしてもお得である。
- 鍈輝(えいき) ←コロナ・テイクアウトグルメグランプリ優勝店。
- クンビラ(KHUMBILA) ←スパイスのオーケストラともいうべき複雑な味わいが五感に押し寄せる。
- ブラチェリア デリツィオーゾ イタリア(BRACERIA DELIZIOSO ITALIA) ←ランチの信じがたい費用対効果。
- CarneSio east(カルネジーオ イースト) ←なんて素晴らしい費用対効果なのでしょう。
- ガストロノミー ジョエル ロブション ←やはり最強。季節ごとにお邪魔したい。
- チャイニーズダイニング方哉(まさや) ←ランチの千円担々麺が絶品。
- 晩酌屋おじんじょ ←恵比寿で居酒屋ならコチラ。
- 蕎麦懐石 義(ぎ) ←飲み物付きランチコース4千円がほんとうにすばらしい。
- えびすの安兵衛 ←超行列店。高知名物「屋台餃子」を恵比寿の地で!