中華そば どんぐり/日吉(横浜市)

日吉駅から歩いて10分ぐらいの場所にある「中華そば どんぐり」。慶應の日吉キャンパスと矢上キャンパスの間の住宅街に位置します。土地柄か家族連れが多く牧歌的な雰囲気を湛えたお店です。
ご夫婦(?)のみで切り盛りされており、都心の効率的な大繁盛店と違って調理に時間を要するため、回転は非常に悪いです。ほんの2-3人の待ち行列だったのに、並び始めから食べ始めまで1時間もかかりました。改善する気も無さそうだったので、これはもうこういうお店だと割り切って、じっくり読書をするつもりで訪れましょう。
私は「どんぐり中華(赤)」に「ねこまんま」を注文。前者が850円に後者が150円で、そのボリュームを考えれば、食べる前から費用対効果は抜群です。もちろん待ち時間とのトレードオフに過ぎないという意見もあります。
トッピングが豪華ですねえ。デフォルトで分厚いチャーシューが数枚に青菜、味玉、たっぷりのメンマにネギと、実に気前の良い配員です。チャーシューは軽く炙って香りが良く、味玉も卵黄トロトロで精密な味わいです。
スープは魚介の旨味が支配的で、香りがスモーキーにすら感じます。それでいて動物由来のコクも感じられ、全体を通して甘めの醤油でまとまえているといった印象。油分は少なく万人受けする味覚です。麺はスープほどの特長は無く穏やかな味わい。私は麺1玉にしましたが、プラス100円で2玉に臨んでいるゲストが結構多く驚きました。
150円の「ねこまんま」。その語感と価格設定からは考えられないほどのボリューム感であり、丼いっぱいの白ゴハンに切り落としのチャーシュー、カツオ節にカツオの煮込み(?)。それぞれで食べても良し、混ぜて食べて良し、ラーメンのスープと合わせても良し。ラーメンという主役を喰ってしまうほどの異彩を放つサイドメニューです。
以上を食べてピッタリ千円。支払金額を考えれば奇跡ともいえる質および量であり大満足のランチです。他方、冒頭に述べた通りオペレーション効率が悪く、とにかく待つ。子連れ客も多くフードコートのように騒がしいので、そのあたりのウィークポイントは覚悟した上で訪れると良いでしょう。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。