佳肴 岡もと(かこう おかもと)/東山五条(京都)

東山五条の交差点近く、フォーシーズンズの裏にある「佳肴 岡もと(かこう おかもと)」。ミシュラン1ツ星。「佳肴」との冠通り、日本酒とツマミに秀でた割烹と評判のお店です。
岡本良太シェフは広島生まれ。祗園「花吉兆」、北山「京上賀茂御料理秋山」などで腕を磨いたのち当店を開業。カウンター8席のみの小さなお店であり、シェフとホールの2マンセルで臨みます。
日本酒は60種類のどの用意があるとのことですが、8席1回転の店でそんなに開けて状態大丈夫そ?また、店主が酒を愛しているのは良いことなのですが、料理に合わせて提案する酒の説明をグループごとに何度も何度も繰り返すので、料理が全然出て来ません。口元が寂しいので酒を飲むしかなく、また酒が足りなくなって追加注文し店主が日本酒の説明にやって来るという悪循環です。なお、メニューは無くドリンクの価格は不明でした。
先付は茶碗蒸し的なひと品。ベーシックな玉地蒸しにヘシコのお出汁の餡を注ぎます。ヘシコの旨味のパンチがきいてとても美味しい。ずんだをトッピングするのも面白く、センス溢れるひと品です。
ハモの落とし。軽く煮たホタテと共に酒のツマミにピッタリです。オレンジ色の液体は桜えびのソース(?)であり、山椒オイルのアクセントとニラの花の香りを含めて三次元の美味しさです。
お椀ではサワラ。酒蒸しにして穏やかな味わい。スープも綺麗な味わいで、東京和食のパンチ溢れる味わいに慣れた方々には少し物足りなく感じるかもしれません。
序盤に述べた通り、皿出しの悪さが際立ってきました。お造りが出て来たのは先のお椀から40分以上を経過したころであり、さすがに頑迷したオペレーションであると言わざるを得ません。鱧の骨切りはあんなに上手いのに、どうしてこんなに段取りが悪いのだろう。おまけに過度におしゃべりで、口ではなく手を動かして欲しいところ。そんな気分の中で食べるウニの味など中くらいである。
八寸は盆に盛り込まず、ひと品ひと品を順番に出すスタイルです。料理はイワシを煮て鰹節パウダーを塗したものなのですが、犬の落とし物に見えなくもない。見た目大事。
続く小皿は空芯菜に赤コンニャク。八寸とはその名の通り八寸(約24cm)四方の盆にのせて提供するものだと私は信じ込んでいたので色々と困惑しています。
お粥の上にイクラを並べます。イクラは美味しいのですが、お粥は微妙ですね。ダラダラとした食感で、ここは普通のゴハンが良いです。
バチコは軽く炙った半生状態で。このバチコは美味しいですねえ。嫌な臭みなどはなく旨味だけが凝縮されており、とにかく日本酒が進みます。
焼き物はキンキ。炭火で炙ったのちに鉄鍋に移し、たっぷりの松茸と共に頂きます。素直に美味しい。しかしながら調理途中でも店主は電話に余裕で出たりするので、未来のゲストでなく目の前の客に集中して欲しいところです。
お食事ひと品目は鯖寿司。左はしば漬けを、右には実山椒を組み込んでおり、間延びすることなく味覚にリズムが生まれます。
続いて麺料理。鹿児島のシャポンという鶏から取ったスープにフカヒレを合わせ、何とも贅沢なしめくくりです。麺は玄米(?)から作ったものだそうで、独特の食感が面白かった。
甘味に移ります、イチヂクをワインで炊き、茶色いペーストは栗と白味噌を合わせたもの。イチヂクの田楽風というか何と言うか、ありそうでない組み合わせで興味深い。
蒸したてのおまんじゅう。ベースは黒ゴマで、中には豆乳を用いたカスタードクリームが詰め込まれています。動物性脂肪が無いからか、思いのほか軽いタッチです。

以上を食べてそこそこ飲んでお会計はひとりあたり2万数千円といったところ。快活で大胆な料理でセンスはとても良いのですが、とにかくテンポが悪いですね。こんなに間延びしたディナーは「みもっと」ぶりかもしれません。

また、予約時間に関わらず途中から全員のゲストの皿出しが合流して最後は一緒にゴールインするので、遅い時間で予約を入れたほうがテンポ良く食事することができるでしょう。食事というよりも、ツマミ片手に日本酒をダラダラ飲みたい方におすすめのお店でした。

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