中華Aoki(あおき)/恵比寿

恵比寿駅から歩いて7-8分の「中華Aoki(あおき)」。2022年にオープンしたばかりの中華料理店であり、「うしごろバンビーナ 恵比寿本店 (USHIGORO Bambina)」のすぐ近所です。
内装が変わっていて、天井が高く中央にアイランドキッチンがあり、その周りをぐるりとカウンターが取り囲む形式で、奥にはテーブル席や個室もあります。せいろでの蒸しや各種盛りつけを見ながら飲めるのが楽しい。

厨房を統べる青木良輔シェフは「四川飯店」や「szechwan restaurant 陳(スーツァン レストラン チン)」などで腕を磨いたそうです。
酒は高くなく、生ビールが700円にグラスワインは800円から。恵比寿のキレイ目な飲食店でこの価格設定は良心的と言えるでしょう。飲み放題プランもあるようで、旨いもの好きの男性グループなども多く微笑ましい客層です。
前菜は押し豆腐によだれ鶏。いずれもソフトで軽やかな味わいであり、徐々にエンジンが温まっていきます。
小籠包にはたっぷりとスープが詰まっており、少しでも零すと過ちを犯したような気分になるのでお気をつけて。スプレーでシュっとひと拭きする黒酢が心地よいアクセントです。
春巻きはワカシだっけなワラサだっけな。いずれにせよ白身のお魚であり、特有のメタリックな味わいと放射する旨味にビールが進みます。
北京ダックは目の前で塊肉から切り出して巻き巻きしてくれます。テンメンジャンの奥行のある甘味とコクのほか、生のニンニクの鮮やかな風味も見逃せない美味しさです。
帆立とカラスミの塩炒め。上質な食材をササっとシンプルに調理するのですが、仕上げに粉末のカラスミをドバドバかけるのが良いですね。当然に旨味と塩気が強く、お酒が進みます。
東坡肉(トンポーロー)にはSPF特選岩中豚を用いているそうです。いわゆる皮付きの豚の角煮であり、脂身を油で揚げるという背徳的な料理です。黒酢のソースと梅干でクドさを和らげてはいるのですが、二日酔いの私の内臓には少し脂がきつかった。
フカヒレは鉄鍋でグッツグツになってやって来ます。スープというかソースというか、とにかくドロドロのあれが実に旨く、また鉄板で焦げつつある部分にエキスが凝集し、味わいにグラデーションが生まれます。
和牛サーロインの青椒肉絲。和牛のチンジャオロースと言えば「マルシン飯店」が真っ先に思い浮かぶのですが、その記号性を悠々と凌駕する味わい。食体験としてはチンジャオロースというよりもステーキに近いかもしれません。
白ゴハンも付いてきます。バーミキュラで炊いたツヤツヤなやつであり、甘味が強くサーロインの脂を優雅に受け止めてくれます。
デザートにマンゴーの最中でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のお料理のコースが7,480円で、軽く飲んでお会計はひとりあたり1万円を切りました。全体を通して外連味の無い料理であり、実直にして誠実。リーズナブル。
テーブル席でのグループ客限定ではありますが飲み放題付き8,800円のプランがどう考えてもお得なので、ちょっと贅沢な飲み会にちょうど良いでしょう。カウンター席はデートで、テーブルや個室は気の置けない仲間たちと共にどうぞ。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたいかた必読の書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。客に日本人は殆どいないのですが、コロナ禍で海外に行けない今、ある意味では海外旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。