トヨタとハイアットが手を組んで開業した「富士スピードウェイホテル」。この日は炉端焼きレストランの「Robata OYAMA（ロバタ オヤマ）」にお邪魔します。日本におけるホテルの和食は日本料理・鮨・鉄板焼きが定番であり、炉端焼きという業態は珍しいかもしれません。
アルコールの値付けはようわからんですね。ビールはいずれも千円を超え、流石ホテルだなあと感心するのですが、日本酒は1合千円強～思いのほかリーズナブルであり、ルイナールのブランドブランなどはボトルで1.8万円ほどと謎にお買い得です。そういえば「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO」もルイナールが格安だったなあ。ルイナールはハイアットと何か繋がりがあるのかもしれません。
「“パリピー” 冷やしピーマンと静岡牛の時雨煮」という謎料理ですが、語感に惹かれてノリで注文するとこれが大当たり。ピーマンには全くエグ味は無く、時雨煮の味わいはどこまでも深い。これは完全に出血大サービス品ですな。
「OYAMA刺身サラダ 富士りんごと生姜のドレッシング」は、その名の通りたっぷりと刺身が入っており、これで2,500円ほどというのはホテルのダイニングとしては非常にお値打ちでしょう。
シグネチャーディッシュの「静岡牛の肉じゃが」。肉じゃがって、別に嫌いじゃないけど特にテンションが上がるわけでもない料理という位置付けだったのですが、この肉じゃがは別格。そもそもこの料理を肉じゃがと呼称して良いのだろうか。超旨い牛肉と超旨いジャガイモで超超旨いです。
「小山町金太郎マス いくらおろし」。先の刺身サラダもそうですが、当店はイクラを随分と気前よく起用してくれます。バリっと炙った皮と身の境界線が一番美味しい。
「富士山御殿どり」はタレか柚子胡椒のいずれかのチョイスで、後者でお願いしました。目の前の炭火（？）でバリバリと焼かれていき見るからに旨そうで、実際に旨い。この、炉端焼きというスタイルは反則ですね。全ゲストの注文した料理が目の前で調理されていくので、あれも美味しそうこれも美味しそうとついつい追加注文してしまいます。
「月見つくね」につき、つくね部分よりも玉子エリアのほうが主張が強いかもしれません。ガッチリとした逞しい卵黄にドロリとした濃厚のタレ。つくね料理としては異例かもしれませんが、心に残ったひと皿でした。
こちらも看板料理の「“山葵丼” 御殿場コシヒカリ 鰹節」。少し醤油を垂らして混ぜ込むと、途端に爆発するワサビの香り。オカズ的なモノ無しで白米持つんかいなと心配しましたが、きっちりとお代わりが欲しくなりました。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり1万円を切りました。ラグジュアリーホテルのダイニングでこれだけ飲み食いしてこの支払金額は割安であり、好きなものを好きなだけ注文できるという自由度も素晴らしい。それでいてゲストを全く待たすことのない仕事の速さ。ホテルの仕事とはこうであると、そのへんの飲食店との場数の違いを見せつけられたディナーでした。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。