misola (ミソラ)/表参道

表参道のポルシェ脇の奥の細道にある一軒家イタリアン「misola (ミソラ)」。1階はウェイティングバーかワインショップでしょうか、受付は1階で共通であり、ダイニングは2階にあります。とっても美味しいオシャレな中華「ミモザ(MIMOSA)」のお隣です。
富豪の別荘のように素敵な空間で、バリっとクロスが張られています。席数はそれほど多くなく、2階に10席強、3階に個室で6席といった陣容です。

石濵一則シェフは栃木県生まれで、那須高原「Ristorante La vita e Bella」副料理長を務めたのちイタリアへと渡り腕を磨きました。帰国後は八丁堀「Stesso e magari chic」など有名店の厨房を預かったのち当店のシェフに就任。
今回はワインペアリング付きのプランで予約を入れました。全てイタリアワインで揃えて味覚の幅は自由自在。時おり注ぎ足しもして下さり気前の良いお店です。
アミューズは「バッカラマンテカート」。いわゆる塩ダラのペーストをオシャレに食べる試みであり、キャビアの塩気とコラボして美酒佳肴の始まりを告げます。
「水蛸のサラティーナ」は水ダコをインカのめざめチップスに配しナイスバイトです。こういうツマミが常備された温かい家庭を築きたい。
「ムール貝のクロケッタ」は、ムール貝の身とエキスをペースト(?)状態にし、ポレンタで衣をつけてコロッケ状態です。磯の風味が凝縮されており、こういうツマミが常備された温かい家庭を築きたい。
「パンナコッタサラータ」は一転して爽やかな味覚であり、真夏の夜の会食にピッタリ。以上がアミューズで、この日の勝利を確信しました。
パンは2種類用意してくださり、オリーブオイルやバターでなく生ハムを添えてくれるのが嬉しい。もうこれだけで我々の業界ではご褒美である。
「帆立のインパデッラ」は優しく火を通されたホタテと薄くスライスされたコンボです。塩味を強めたメレンゲで全体を取りまとめるというセンスの良さ。
「鮎とアワビのピアストラ」は大ぶりの鮎を骨抜きにし、代わりにアワビを詰め込むという問題作。得も言われぬ背徳的な旨味が感じられ、塩焼き一辺倒の鮎業界に一石を投じるひと品です。
「仔牛のコトレッタとアッロースト」は仔牛をローストとカツレツの2タイプで楽しむ料理であり、どちらも甲乙つけがたい魅力に溢れています。トリュフの香りの用い方も的確で、付け合わせの茄子も大変美味しい。
順序を変えてここでパスタの「サルシッチャと大和ルージュのカヴァテッリ」。自家製手打ちのモチモチとした食感が後を引く美味しさであり、色味と味わいの強いトウモロコシの存在感も見事です。
〆は冷製パスタの「雲丹と花咲姫のパスタフレッダ」で、〆のお蕎麦的な楽しみ方があります。エレガントなトマトソースに濃厚なウニの甘味。何とも清々しいフィニッシュです。
デザート1皿目は「スターアニス風味のジェラティーナ」。元気いっぱいのマンゴーとパッションフルーツに思わず目を細めます。色んな果物のエキスが詰まったジュレも晴れ晴れしい。
デザート2皿目は「マントヴァ産メロンのズッパとリコッタチーズのムース」。メロンの甘味が決していやらしくなく、5秒で食べきってしまうほどの清々しさです。こういうおやつが常備された温かい家庭を築きたい。
お茶菓子と紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上の料理とワインのペアリング、税サがコミコミでひとりあたり26,620円。空間にサービス、料理の質と量どれを取っても一級品であり、この支払金額は良心的と言えるでしょう。
また当店は「イノベーティブ」に分類されて紹介されることが多いのですが、土台にイタリア料理としての正当性が感じられ、その上で意欲的な取り組みをしているというスタイルであり、イマドキのうわべだけイノベーティブなレストランとはレベチな美味しさです。真っ当なイタリア料理を楽しみにいくつもりでどうぞ。

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