美乃鮨(みのずし)/富山市

目黒は柿の木坂で創業した「美乃鮨(みのずし)」ですが、富山に移転してからもすっかり長くなり、今や富山でトップクラスに人気のある鮨屋へと成長しました。大箱カジュアル目の鮨屋ではありますが、必ず予約をしてから訪れましょう。
富山駅から歩いて15分ほど、富山城址公園丸の内交差点にあります。市電を使えば丸の内駅からすぐです。店内は天井や壁一面に杉板が張り巡らされ、居心地の良い空気感。カウンターは10席強で、テーブル席や個室もいくつかあり、様々なシーンで活躍します。
高岡のレアな日本酒「勝駒」がありました。そのほか地元の日本酒が多数取り揃えられており、旅行者にとっては堪らないラインナップです。値付けも安く、ビールなど5百円台です。
お通しのタコ。サっと煮てあり旨味が強く、冷えたビールにピッタリです。
にぎりに入る前にお造りをお願いしました。フクラギ・レンコダイ・バイ貝・甘海老と、東京で食べるお造りとはラインナップが異なります。レンコダイがしっかりと昆布で締められており、独特のネットリ感を楽しむことができます。
酢の物も盛り合わせにしてもらいました。コハダにカニにタコ。いずれもしっかりと酸がきいており、真夏の夜の宴にピッタリです。
にぎりに入ります。おこのみでの注文もOKと懐が深いのですが、まずは地元の魚を中心におまかせでお願いしました。まずはヒラメ。肉厚でじっとりとした旨味が感じられ、日本酒に良く合います。
アラ。九州のアラとは別の種類のものであり、北陸を中心に流通する高級魚です。ムチっとした食感が特長的で、歯茎を押し返してくるほどです。
のどぐろ。こちらも地元の高級魚ですが、ダラダラの脂にまみれているというよりは、上手く脂を保持しているという印象。サッと炙って心地よい香りが鼻腔を満たします。
サクラマス。いわゆる鱒寿司のタネですが、酢で締めずに生で食べると得も言われぬ豊潤な香りを楽しむことができます。リッチな味覚でとても美味しい。 
アジ。まさに健康優良児といった個体であり、筋肉質で爽やかな味わい。
シロエビ。東京で食べるとなると背筋が伸びるタネですが、富山では割にカジュアルに出て来ます。ネットリとした触りが乙な味。
ベニズワイガニ。甲殻類特有の旨味を愉しみつつも、決して嫌な後味はなく、冷酒でクっとやるにちょうど良い味わいです。
アカイカ。こちらもフレッシュな口当たりで味そのものもとても綺麗です。
アナゴは脂がたっぷりなところを思いきり強く炙っています。タネの強さに負けじとツメも味覚も強く、食べ応えのある1カンです。
ギョク。シャリ少し玉子たっぷりの無茶なバランスで食べ応え抜群。ややこしいことは抜きにして玉子の率直な風味を愉しみます。
ギョクまでがおまかせの一通り。ここからはお好みで追加注文。こちらは締めサバで、品の良い酸味と肉厚なサバの脂との調和が見事です。
生のゲソ。このゲソは美味しいですねえ。ゲソ特有の嫌なにおいなどは1ミリもなく、思わずパキってしまいました。
〆のカンピョウ。ワサビたっぷりな芸風であり、酔いがさめる逸品です。

以上を食べ、結構飲んでお会計は1万円強。思わず手を合わせたくなる費用対効果で大満足。いやー、やっぱ鮨ってこれぐらいの値段に収まると最も幸せパワーが発揮される気がします。東京の5万も6万もする予約困難店で店エースを競い合うのに疲れた方は是非どうぞ。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。