シャテーニュ(La Chataigne)/神楽坂

神楽坂の坂から1本奥に入った住宅街にある「シャテーニュ(La Chataigne)」。1階はワインショップで角打ちエリアも用意されており、私がお邪魔した週末にはかなりの賑わいを見せていました。
「シャテーニュ(La Chataigne)」そのものは地下にあり、オープンキッチンにL字型のカウンターという誂え。客席数は8-10といったところで、料理人がひとりにアシスタントがもうひとりと、効率的な人員配置です。

栗原正登シェフは日本橋「たいめいけん」や五反田「フリコトー」、恵比寿「ジョエル・ロブション」などで経験を積み、フランスの名だたる星付き店で腕を磨いたのちに船橋で「ビストロマロン」を開業。その後、縁あって神楽坂へと転戦し、現在に至ります。
ワインショップを併設しているだけあって、酒はそれほど高くありません。ペアリングは杯数によって値段が変わる従量課金制であり、私は5杯で8千円だったっけな。ノンアルコールのペアリングやミックスもあり、下戸でも楽しめるお店です。
アミューズはパテにリエットにチーズと、色んな味を楽しむことができます。ペアリング1杯目にはきちんとしたシャンパーニュが供され、やっぱりフランス料理っていいな。日本の生ビールプハーとはまた違った魅力があります。
前菜にタルタル。和牛のシンシンやニジマスにお野菜が組み込まれており、山海の珍味を楽しむことができます。キャビアも贅沢な彩りを添えており心地よい塩気が感じられました。
鹿肉のコンソメ。この日のメインは鹿肉なので、端肉や筋の部分まで余すところなく活用した格好です。いわゆるビーフのコンソメに比べるとパワフルな味覚であり、ムンムンとした色気が感じられました。
ロワールのホワイトアスパラガス。極太のそれをクタクタになるまで茹で込んでおり、アクセントにイカをトッピングします。タレはシンプルなバターソースであり、アスパラ由来の濃厚な甘味を楽しむことができました。
パンはシンプルなものがひとかけら。なのですが、当店のシェフは大変に手が早く皿出しのテンポが頗る良いので、パンをヒマ食いする時間を与えないので、このぐらいでちょうど良いでしょう。
新玉ねぎをベニエにしたのち、静岡産のサクラエビを散らします。ごくごくシンプルな料理ですが素直に美味しい。ややもすると和食店で供されるひと品のようです。
お魚料理はアマダイ。ウロコを活かした調理でバリバリとした食感が心地よい。スープにはアサリのお出汁を用いており、先の料理に続いて、また、シェフの風貌も相俟って割烹料理店にお邪魔しているかのようです。
お口直しには四国(だっけ?)の柑橘類を用いたシャーベット。甘味も酸味も濃厚で、一般的なグラニテに比べると存在感がありました。
メインは鹿肉のパイ包み焼き。夏の鹿なので見た目ほど暑苦しくなく、フォアグラを組み込んでもスイスイと食べ進めることができます。ソースにはマルサラを用いているのですが決してクドくなく、かなりのポーションながらペロリと完食。
〆の炭水化物として炊き込みご飯も出ます。この日は北海道のズワイガニにボルディエのバターをぶち込みサマートリュフを散らすという贅沢仕様。おかわりにはスープも用意されており、出汁茶漬けのように楽しむことができます。
デザートはメロンのスープにクリームチーズのムース(?)。ジュレとシャーベットには白ワインを用いており、さっぱりサクっとフィニッシュです。ラストの甘味のサラっと感含め、やはり割烹料理店での食後感に近いものを感じました。
以上のコース料理が2万円で、ワインのペアリングやらなんやらでひとりあたり3万円といったところ。料理の質および量を考えればリーズナブルな構成であり、多種多様なワインペアリングも含めて実にイマドキなレストランに感じました。

ちなみにこのコースの提供は日程が限られており(週末ディナーのみ?)、別日程ではより親しみやすい価格帯でスペイン料理なども提供している模様。上階の立ち飲みもありますし、楽しみ方は無限大。次回は6千円のランチを試してみたいと思います。

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