ヒルトン東京(Hilton Tokyo)/西新宿

2023年6月20日に日本に進出して60周年を迎えたヒルトン。フラッグシップの新宿「ヒルトン東京(Hilton Tokyo)」は1984年の開業。なお、このあたり西新宿界隈は「パークハイアット東京(Park Hyatt Tokyo)」「ハイアットリージェンシー東京(Hyatt Regency Tokyo)」など高級外資系ホテルがひしめき合っています。
公式ウェブサイトでは「新宿駅からは徒歩10分」と表現されていますが、普通の人間であればまず無理なタイム。長く歩くのが苦手な方は新宿駅から無料のシャトルバスが出ているので、そちらを利用しましょう。
チェックインまで時間があったので、我々は2階のレストランエリアにあるダイニング「メトロポリタングリル(Metropolitan Grill)」で昼食を摂ることに。ブランチのセットメニューが6,500円と強気の価格設定です。詳細は別記事にて。
全830室の巨大ホテルにも関わらずロビーのチェックインカウンターは非常に小さく行列必至。私はヒルトンのダイヤモンド会員であるため、そのへんのスタッフに声をかけ37階のエグゼクティブラウンジに案内してもらい、行列なしで座ってチェックイン。これが格差社会である。
一番安い部屋に予約を入れたのですが、ダイヤモンド会員特典としてかなりアップグレードしてもらえました。ただ、お部屋の名前は確かエグゼクティブなんとかスイートだったと記憶しているのですが、名前ほど豪華なお部屋ではありません。
広さは30平米ほどでしょうか。ワーキングデスクなど一通りの設備は揃ってはいるものの広さは感じられません。遮光は障子と襖仕立てであり、「ヒルトン名古屋(Hilton Nagoya)」「ヒルトン広島(Hilton Hiroshima)」と同じく和を連想させる誂えです。
40階に近い高さであり流石の眺望。「アンダーズ 東京 (Andaz Tokyo)」のように港区な眺めとはまた違った楽しさがあります。部屋によっては富士山が見えることもあるそうです。
クローゼットは伝統的なものであり、他の部屋のバタンバタン閉める音がうるさい。そう、当館は足音やら扉を閉める音やら、何かと生活音が響くホテルです。
冷蔵庫は空っぽのビジネスホテルスタイル。また、コーヒーがインスタントのもので、1泊6万円近くする高級ホテルとしては信じられないほどのアメニティのショボさです。セカンドライン(?)の「ダブルツリー by ヒルトン(DoubleTree by Hilton)」ですらネスプレッソが置かれているというのに。
ウェットエリアは古いホテルらしくトイレとの一体型。複数人数で泊まる際には不便です。また、やはりアメニティ類も非常に簡素なものであり、SDGsと言えば聞こえは良いですが単なるホテルにとっての経費節減にしか感じられません。
バスタブもあります。が、私はフィットネスセンターで汗を流した帰りに大浴場に立ち寄ったので、自分の部屋では使用しませんでした。だってアメニティがディスペンサー方式なんだもの。このクラスのホテルとしては信じがたい装備の悪さです。
フィットネスセンターにつき、プールやテニスコートもあるのですが、とりあえずあるだけといった程度です(写真は公式ウェブサイトより)。プールなど長さ12メートルが2レーンだけであり、息継ぎなしで対岸まで辿り着いてしまいます。
マシン類も用意されているのですが、全830室のフィットネスを支えるにしては心許ない(写真は公式ウェブサイトより)。やはりこのあたりのホテルのジムは「パークハイアット東京(Park Hyatt Tokyo)」が眺望含めて抜群に素晴らしいです。
午睡の後、カクテルタイムが始まったのでエグゼクティブラウンジを覗いてみることに。泡はシャンドンで、スティルワインのラインナップも豊富であり、及第点と言えるでしょう。
ツマミについてはサラダやチーズ、ハム類のほか、妙に炭水化物が多い気がしました。栄養のバランスはさておき、ここで満腹にしようと思えばできなくもない品揃えです。
その他、餃子に茶碗蒸し、アッシ・パルマンティエ(牛肉の挽肉をマッシュポテトで覆ったグラタン)など、とりとめのないラインナップであり、いずれも特に美味しくはありません。近くの子供はアイスクリームばっかり食べており、子供の味覚は正直だなあとしみじみ感じます。
朝食にオールデイダイニングの「マーブルラウンジ(Marble Lounge)」を覗いてみるのですが、あくまで巨大ホテルの巨大朝食バイキング会場であり、そういう場所だと覚悟した上で訪れるようにしましょう。詳細は別記事にて
ちなみにエグゼクティブラウンジでの朝食風景はこんな感じ。一般的にどのホテルブランドであっても、エグゼクティブラウンジで提供される朝食はオールデイダイニングのオムニバス版であることが殆どなのですが、当館の場合は食材のグレードを明確に上げていました。
エグゼクティブラウンジでは行列は当然生じませんし、卵料理などはスタッフに声を掛ければ持ってきてくれるので、当館に限っては、上級会員の方は迷わず37階に向かうべきでしょう。
総論として、パッとしないホテルでした。もちろん普段通りのヒルトンと言えばそうなのですが、これで1泊6万円は高すぎます。もちろん地価と人件費を考えれば仕方ないのかもしれませんが、私のような東京在住者が気分転換に泊まりに来るにはナンセンス。あくまでアメリカからの出張者をお迎えする場合や、学会や見本市などで数百室を押さえなければならないなど、特殊な用途に限定して利用すべきホテルに感じました。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。