中目黒駅から歩いて7-8分、目黒銀座商店街の奥にある「クオーレ アズーロ(Osteria e Bar Cuore Azzurro)」。お隣の内臓系ビストロ「タツミ (tatsumi)」と並んで百名店に選出。店名はイタリア語で「青い心」を意味します。
店内はL字のカウンター席が10席ほどに可動式のテーブル席も10ほど(写真は公式ウェブサイトより)。シェフはイタリアの様々な地域で腕を磨いたそうで、各地の郷土料理をアラカルトで自由に注文することができます。
酒も高くなく、ビールやグラスワインは千円を切り、ボトルワインも5千円台から始まります。東京って、都心3区を外れた瞬間に外食物価が3割近く安くなりますな。
お通しにフレーゴラのサラダ。フレーゴラとはサルデーニャの粒々パスタであり、それをツナやら野菜やらと組み合わせてアミューズに仕上げます。お隣はひよこ豆を揚げてどないかしたケーキ状のものであり、イタリア料理店のお通しとして最上級に凝ったものと言えるでしょう。
パンも複数種用意されており、先のアミューズと合わせて席料1,000円なら大納得です。お通し要/不要論争は数百年続いていますが、それを解決する唯一の方法は、値段に見合ったものを提供することでしょう。
カツオを炭で炙ってブッラータをトッピングし、トリュフを散らしたもの。美味しいのですが、香りと味が多すぎる気がしないでもありません。私の雑な五感では処理しきれないだけという疑惑もあります。
万願寺唐辛子にモッツァレラチーズを詰め豚肉を巻き付け揚げたもの。これはもうどうやったって旨い反則技的なひと品であり、さらに削ったチーズまで振りかけて君たちは本当にもう。
スペシャリテの玉ねぎ。中には豚肉と鶏レバーが詰め込まれており、じっくりと火を通し甘味を増します。こちらも先のマンガンジーに続いて参りましたの逸品です。
パスタは手打ちのものが豊富であり、こちらはフェットチーネに唐辛子を練りこみました。この日はミル貝の良いものが入ったということで、そちらと合わせてオイルベースでシンプルに頂きます。貝のお出汁の味わいとカラスミパウダーの旨味で日本酒が欲しくなる炭水化物です。
ピチという、讃岐うどん的な極太パスタの用意もあります。その逞しい食感だけでも美味しく、ソースは猪肉のラグーとパンチのあるものを合わせて私パキってしまいました。メインはラムのカツレツ。ラム芯という部位だそうで、乳児のように肌理が細かく柔らかくしっとりとした口当たり。衣をつけてザっと揚げても少しもクドくありません。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1万円強。わおー、これは大変尊い費用対効果ですね。先に述べた通り都心3区であれば2万円近く請求されても文句は言えないクオリティです。
お金の話はさておき、これだけの種類の料理を用意しながら各々がきちんと旨く、料理人たちの物事の本質をぱっと掴むスキルの高さには脱帽です。次回はグループで訪れてテーブル席を確保し、全メニュー制覇がぐらいの勢いで注文したいものです。人はそれを道楽と呼ぶ。
関連記事
目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- サエキ飯店 ←食堂系中華の最高峰。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。