アジェ 松原本店/京都

1997年創業に河原町松原に創業した「アジェ」。新鮮なホソ(小腸)を塩味で食べるという、当時としては珍しいスタイルで一世を風靡し、現在では京都と東京に数店舗、名古屋や岐阜、金沢にも展開中。ここ松原本店は食べログの百名店にも選出されています。
基本的には予約は不可のお店ですが、開店と同時の席であれば予約可能。また常連や店員のツレであったりすると行列をぶっこぬいて着席できるという、コネと人脈がモノを言う世界です。私にはコネも人脈も何も無いので、開店と同時の席を電話で予約しておきました。
気楽な焼肉屋なので酒は安い。どの飲み物も500円から千円のレンジに収まっており、気前よくジャンジャン飲めるお店です。
お通しのキャベツ。これはまあ、普通の千切りキャベツですね。申し訳程度にドレッシングはかかっていますが、キャベツはキャベツです。
ローストビーフのユッケ風。厚切りのローストビーフをユッケの細さにカットした代物ですが、なるほど口当たりはユッケそのものであり、これなら生肉に拘る必要もないかなと思えてきました。濃厚な卵黄のソースもすこぶる快調。
もやしナムル。「亀戸ホルモン」ほどでないにせよ、二郎もかくやというタワー盛りでやってきました。肉が続いた際の箸休めとしてテーブル脇に常備しておくと良いでしょう。
キムチの3種盛りを注文したのですが、それぞれ別皿でやってきました。白菜・玉ねぎ・長芋のトリオであり、白菜キムチなど専門店の高級品に比肩する美味しさです。
上タン塩。いわゆる王道のタン塩であり、支払金額に比してクオリティは上々。焼き物のあいさつ代わりに注文しましょう。
テール塩焼き。私にとってはスープや煮込みで食べることがほとんどの食材であり、ぶつ切りを網焼きするのは初めての経験です。脂が強く中心に骨も通っており、どこか骨付きカルビに近いニュアンスを感じました。
赤身盛り合わせ。なるほど確かに盛り合わせであり、どの部位が組み込まれているのは不明ですが、色んな味が楽しめます。しかしながら、味付けは全て同じであることも相俟って、何を食べたのかは記憶に留まり辛い。人間は情報の奴隷なのだ。
サンチュは山盛りでやって来るので、そのまま食べたり肉をラップして食べたりと自由自在。確か500円ほどであり、ひょっとするとその辺のスーパーで買うよりも安くつくかもしれません。
極上ハラミ。まさに極上といって良い味わいであり、この質この量が2千円かそこらで食べられる飲食店は珍しいでしょう。
ホソのタレ。冒頭に記した通り当店のスペシャリテはホソの塩味なのですが、後半戦にも差し掛かってきたため敢えてタレでの挑戦です。じっくりと火で炙り脂がギュっと縮んだところをひと口で頂きます。なるほど旨い。ただし満腹中枢が上がってきている最中だったので、少し重たくも感じます。やはり先人の教え通りホソは塩で序盤に食すべきなのかもしれません。
上ミノのタレ。ホソから一転サクサクとした食感であり、満腹だと言うのに瞬で食べ切ってしまいました。ホソと上ミノのボリュームが逆だったらいいのにな。もちろん上ミノを2人目注文すればすべて解決という意見もあります。
〆の食事に「名物ホルモン焼きそば」。本店限定メニューであり数量も限定と言うバーキンのようなヌードルです。ホソの塩味が有名な店なので勝手に塩焼きそばを想像していたのですが、思いのほかピリ辛ソース味が支配的。麺も美味しく、具材よりも麺そのものの存在感が記憶に残ったひと皿です。
以上を2人で食べ、ビールを水のように飲んでひとりあたり7-8千円といったところ。質および量を考えれば大変良心的な価格設定であり、近所にあれば月に2-3回は通ってしまいそう。行列の待ち時間だけがネックですが、仕事の都合をつけて開店時間の座席を予約しておくのがベスト。大丈夫、君なんかいなくても会社はきちんと回るから。
京都のカジュアルな焼肉と言えば「江畑」を贔屓にしていたのですが、上手くやれば予約できる点とアクセスが良いことを考えれば、「アジェ」を焼肉ローテーションに加えるのも良さそうです。ごちそうさまでした。

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