冬のすし初。この日のラインナップはこんな感じ。普通量で4合は飲む計算で、必要に応じて注ぎ足ししてくれます。飲み放題を除けば恐らく日本でもトップクラスに日本酒が出てくるお店です。個人的には山廃はそれほど得意じゃないのですが、「吉田蔵U百万石乃白」が驚くほど透明感のある、綺麗な美味しさでした。
ツマミはシイタケとうるいから始まります。少し乳酸発酵させたニュアンスが感じられ、白く濁った而今の風味にピッタリです。
蓮根はバルサミコの風味をきかせています。合わせるお酒は伊根満開で、古代米の赤いベクトルの味わいとバルサミコの味覚がベストマッチ。シャクシャクとした歯ごたえも心地よい。
冬のすし初と言えば「酒ぶり」。様々なタネを贅沢に日本酒にくぐらせてシャブシャブします。甘海老、スミイカ、ホタテ、ホッキ、ミズダコ、タイ、ヒラメ、ブリ。話題の津本式(細いホースからの水圧でバーっとやる)で処理した後に熟成するなど拘りが感じられます。加えてやはり冬のブリの脂の旨さといったらない。
中トロもお出し頂けました。程よく脂がのって冬の味覚。この日わたしは沖縄から帰ってきたばかりであり、あちらの水っぽいマグロには食傷気味だったので、個人的ハイライトな瞬間でした。風変りな料理がやってきました。底の白いのはブッラータであり、柿とグリグリ混ぜて白和え風にして頂きます。シャリがほどよく味覚のつなぎの役割を果たし美味。紅茶の葉っぱ(?)のアクセントもお洒落な味覚です。
一転してどストレートなひと皿。牡蠣牡蠣牡蠣と、たっぷり牡蠣を頂きます。海のミルクとは良く言ったもので、なんとも芳醇なミルキーな甘味に酔いしれます。ナメタカレイ。何とこちらで1人前。たっぷりとタンパク質を補給することができ、筋トレしたくなります。卵のザラリとした舌ざわりも見逃せない美味しさです。
銀ダラ。定食屋で食べれば2千円は下らない高級魚ですが、それを酒のアテとして愉しむ贅沢。ほうじ茶で燻製するというテクニックもきかせており、日本酒がグビグビ進みます。
開始から2時間半でようやくにぎりに突入。当店は中井の「玉寿司」に並んで握らない鮨屋です(電通調べ認知度98%)。この日は特大のクルマエビに、思いきり炙った中トロが素晴らしかった。加えてアナゴとカンピョウとチーズの手巻きも企画モノながらきちんと美味しい。全体として、かなり飲ませるにぎりです。翌日の二日酔いは約束された。
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- すし匠/ワイキキ ←このお店の真価が問われるのは数十年後のはず。
- 鮨m(すしえむ) ←東京という街が必要とする鮨屋。
- 照寿司(てるずし)/北九州 ←世界で最も有名な鮨職人。
- すし宮川/円山公園(札幌) ←人生でトップクラスに旨い鮨。
- 鮨さいとう/六本木一丁目 ←価格設定に色々と考えさせられる。
- 鮨 在(ざい)/広尾 ←これこれ、鮨とはこれですよ。
- 東麻布天本/赤羽橋 ←欅坂46のような鮨。
- 初音鮨(はつねすし)/蒲田 ←西の照寿司、東の初音鮨。
- 鮨 猪股(いのまた)/川口 ←にぎりのみの男前鮨を喰らえっ!
- 鮨舳/瓦町(高松) ←真っ当な江戸前。銀座の半額で何度でも通いたい。
- くるますし/松山 ←松山への旅行が決まればいの一番に予約したいお店。
- 天寿し/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 一幸(いっこう)/すすきの ←真摯に鮨に取り組む好青年。
- 鮨処木はら(すしどころきはら)/函館 ←鮨屋の答えは函館にあったのです。
- 鮨 十兵衛/福井市 ←福井への旅行が決まれば最初に予約したいお店。
- 鮨 大門/魚津(富山) ←東京の鮨はもうオワコン。
- 小松弥助/金沢(石川) ←「まごころでにぎる」を体現する鮨屋。
- 乙女寿司(おとめずし)/片町(金沢) ←私的北陸一番鮨。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。