ルーデンス(LUDENS)/丸太町(京都)

丸太町駅から歩いてすぐの「ルーデンス(LUDENS)」。築100年以上の町家を改装したお店であり、観光客歓喜のエクステリアです。すぐ南には薬種問屋の街として栄えた二条通りがあり、それにちなんでベースはイタリアンながら薬膳系の料理も提供しているとのこと。
おおー、バリかっちょええ内装ですねえ(写真は公式ウェブサイトより)。アリーナ席はオープンキッチンに面したカウンターで、その奥に個室のテーブル席がいくつか。坪庭も配されており、実に雰囲気のある店構えです。

田淵章仁シェフはイタリア、ドイツ、フランスと様々な業態で料理を学び、2009年に「Clementia」を開業し好評を博したのち2017年に当店をリブランドオープン。
お料理のコースには自動的に1杯が付随し、追加でペアリングなどをお願いする仕組みです。創作的ではあるものの根本はイタリア料理であるため、イタリアワインが主力でした。ノンアルコールも充実しており、ややこしいお茶やジュースなどが目白押し。
名刺代わりに「LUDENSの養生スープ」。開業当初から様々な素材を継ぎ足し継ぎ足しで来ているスープであり、複雑で奥行きのある味覚です。自然と五臓六腑が活性化され、明日への活力が沸いてきます。そんな気がします。
鮎はレタスに包んで一口で頂きます。京都で鮎と言えば日本料理店で塩焼き一辺倒ですが、なるほどこういった食べ方も魅力的です。
アミューズ、続く。四角いやつはバラの風味を活かしたゼリーであり、中にはゴルゴンゾーラチーズが含まれています。香り豊かでお洒落な味わい。ワインにピッタリだ。
こちらも一口サイズのお口取り。岩魚の身とその卵であり、心地よい塩気が口腔内を満たします。やはりワインがピッタリだ。
お野菜は大原の旬のモノをたっぷり用います。まさに野菜だけなのですが、甘味だけでなく香りや苦味など複雑な味覚に満ちており、野菜だけでもこんなに満足できるのかと思い知らされます。
カツオ。和歌山の「ケンケン漁」と呼ばれる1本釣り系の漁法であり、力強く活き活きとした味わい。漬けにした卵黄の濃厚な味わいと組み合わせ、酒の進む逸品です。
米粉パン。なのですが、パンといいつつ中にはカラスミがサンドされており、もはや酒のアテでしかありません。ああ美味しい。日本酒が欲しくなる。
お魚料理はクエなのですが、そのエキスを用いるのはもちろんのこと、多種多様なハーブなども盛り込み東南アジアの酸味あるスープを思わせる味わいです。サッパリと爽快感溢れる味覚であり、内蔵がリセットされました。
メインは近江八幡の木下牧場から仕入れる近江牛。その牛さんたちが食べている牧草を焼きながら香りを移し、仄かに酸を感じさせる調理です。サシ一辺倒の和牛業界からは程遠い肉々しい味わいであり、それでいて清澄な味わいです。
リゾットなのですが、贅沢にもウナギがバリバリにトッピングされており、四捨五入するとウナギです。脂たっぷりでリッチな味わいであり、シュワっとしたフランチャコルタと合わせて見事なシンフォニーを奏でます。
パスタも出ます。炭を練り込みキノコを組み込みトマトの風味で全体をまとめ上げる。どうやったって美味しい〆のゴハンです。
デザートはティラミス。冒頭に用いたバラの風味が再登板。最初から最後まで、徹頭徹尾色んな味がするコース仕立てです。
小菓子にスパイシーなお茶と共にフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコース料理にドリンクが1杯ついて1.5万円。それにワインペアリングを付けて総支払金額は2.5万円。この質と量でこの支払金額は大変お値打ちです。

ネット上の口コミにはイノベーティブ系のレストランと同類に語られることが多いですが、当店の料理は本質的に美味しく、食後の満たされ感はダンチです。薬膳とか創作イタリアンとか関係なく、とても美味しい。ワインもピッタリ。オススメです。

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