川かみ鮮魚 魚坊(いゆぼう)/牧志(那覇)

牧志の街はせんべろ文化が色濃く、どの飲み屋も競うようにその費用対アルコールを主張しているのですが、中でも最強と名高いお店がココ「川かみ鮮魚 魚坊(いゆぼう)」。
店内はとりとめのないインテリアであり、従業員の国籍もバラバラという近未来な光景です。せんべろの店なので予約なんてするわけないのですが、混んで来ると「予約はされていますか?」という印籠のようなフレーズで追い返されるので、空いているタイミングを見計らって訪れましょう。
このあたりのせんべろ店は「ドリンク3杯にツマミ1品で千円」というのが相場ですが、当店はそれに加えて刺身の盛り合わせも付いて来ます。生ビールは普通に美味しく、どうやって利益を挙げているのかは牧志の七不思議としてよく話題になります。
お刺身は1人前で12切れも提供され、回転寿司なら普通に6皿プライスです。この刺盛に飲み物が3杯も付いて、おまけにツマミも1品選べて千円ポッキリとは完全にシンギュラリティを超えています。
私は選べる1品として「アラ煮」を注文。ヘンな表現ですが普通に美味しく、東京の雑な居酒屋でも680円は請求されるクオリティです。
連れは「テビチ」をチョイス。いわゆる豚足の煮込みであり沖縄の郷土料理でもあるのですが、そのへんの観光客向けの居酒屋で出されるものと同等の味わいです。
追加で「白身のタレ焼き」を注文すると、外国人従業員に「コレハ単品デヨロシイデスカァー?」と念を押される。なるほど千円だけ払ってパっと帰る客が多く、追加で注文するゲストは少数派なのかもしれません。それにしても「単品デ」だなんてスラング(?)を自由に操る那覇の街は自由だ。
「ムロアジ唐揚げ」は300円。飲み屋で初めて注文するお魚ですが、いわゆるスマートなアジといった味わいでした。
ホタルイカ沖漬けも300円。どっしりと深みがありアルコール分すら感じる力強い味わいです。これは日本酒が欲しくなります。
〆の「近海漬けマグロ丼」は500円。このあたりのマグロは瑞々しいを通り越して水っぽくもあり、本州の高級品に比べると別の食べ物ではありますが、500円という価格設定を考えれば良い勝負を展開します。お椀には魚介のエキスがたっぷりと溶け込んでおり手堅く美味しい。
しっかり飲み食いしたのですが、お会計はひとり2千円を切りました。学生の宅飲みよりも安くつく計算であり、どういうこっちゃねん。東京で何だかよくわからない横文字の会社に勤めながらシャンパーニュを飲む生活には憧れますが、南国の雑な飲み屋でthinkよりfeelするのもcoolな人生です。

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