店内はカジュアルなビストロといった雰囲気で、カウンター席が6-7席にテーブルがいくつかで、トータルでは20席強といったところでしょうか。カウンター席といっても椅子はしっかりしており席間にもゆとりがあり、全く不都合はありません。
ワインはペアリングでお願いしました。個別の価格は存じ上げませんが、生ビールが880円という価格設定から察するに、そう厳しい価格設定ではなさそうです。アミューズが凝っていて、左からケークサレにグジェールにニンジンのムース(?)のタルト。それぞれひと口程度の料理ではありますが作り手の愛情が伝わって来、この時点で今夜の勝利を確信しました。
前菜はトリガイ。酸味がズバっときいて、思いきりのよい調味です。空豆や甘長とうがらしを用いているも洒落ています。
パンも自家製なのかなあ。こちらはブリオッシュにもうひとつはチーズを練り込んだものでした。単品で食べても充分美味しく、フランス料理におけるパン文化にかかる敬意をひしひしと感じます
スープドポワソン。フランス流の魚介類のスープですが、オマール海老をガッチリ起用しており気前の良いひと皿です。スナップエンドウの青い味わいも見逃せない美味しさです。
マナガツオ。これはとてもフランス料理ですねえ。ソースヴァンブランの濃密な旨さに酔いしれ、春キャベツの上品な甘味に淫します。素材中心のあっさりとしたフランス料理が流行する中、このように迷いがないソースをやすやすとやってのけるのは気持ちが良い。
メインは仔牛のモモ肉。まさに仔牛といった綺麗な味わいであり、何ともいとけない美味しさが感じられます。付け合わせのアスパラやサツマイモにも心がこもっており、素敵なアウトカムを達成していました。
デザートはバナナのキャラメリゼにカルダモンのアイスクリーム。バナナの美味しさはご覧の通りですが、白眉はカルダモンの風味。ほどよくピリっとした感じに仄かなほろ苦さ。何とも大人な味覚のデザートでした。
お茶菓子もしっかり出ます。この価格帯で最初から最後までキッチリとフランス料理する姿勢に謝辞は絶えない。きっとオーナーはフランス料理大好きマンなのでしょう。
紅茶でフィニッシュごちそうさまでした。以上のコースが1万円ほどで、ペアリングを付けても1.5万円ほど。ここまで真剣なフランス料理を堪能してこの支払い金額はリーズナブル。またこの客席数を料理人とソムリエの2マンセルで捌き切るオペレーション能力の高さも素晴らしい。
名駅からも近いので、名古屋観光の最終日ラストディナーにピッタリのお店です。東京行きの終電は22:12だから余裕だぜ!
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日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。
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