ai’s(アイズ)/恵比寿

恵比寿駅から明治通りを渡って表参道方面へ向かった辺りにオープンした「ai’s(アイズ)」。私の大好きな中華料理店「CKJ(シーケージェイ)」のすぐ近く。日本古来の「二十四節気」という暦を念頭に二週間に一度変わるメニューが自慢の「Japanese Italian」だそうです。ジャパニーズイタリアンって何?
予約をしてからお邪魔したのですが、平日昼間のゲストの殆どがウォークインであり、1,980円のパスタセットを注文している方が殆ど(写真は公式ウェブサイトより)。子連れもOKで、たまたま元気いっぱいの家族が入って来、スープストックに発狂している独女の気持ちが少しだけわかりました。
ところで私は一休から1ドリンク付きの「思わずワインが飲みたくなる」と記載されたプランで予約したのですが、なんと1ドリンクとはソフトドリンクのことであり、アルコールの選択は認められませんでした。なるほど確かに「思わずワインが飲みたくなる」プランである。元値内訳にドリンクが1,100円と記されていますがそんなドリンクはどこにもなく信義則に反します。
ちなみにソフトドリンクの最多価格帯は600円程度であり、私が見た限りの最高値は770円でした。耳障りの良い何とかソーダやらがメニューに並びますが、厨房からキリンレモンのペットボトルが見え隠れしていました。
気を取り直してお食事です。これは新玉ねぎのスープだったっけなあ。量こそは多いのですが期待していたほど糖度は高くなく、代わりにヨードっぽいというかメタリックというか玉ねぎ独特の風味ばかり気になり、ぜんぜん美味しくありません。この時期はどの店に行っても最初に新玉ねぎのスープが出てくるので、余計に悪目立ちしてしまった感もあります。
マダイは美味しいですね。ズバっと厚切りで食べ応えがあり思いのほか旨味が強い。たっぷりのハーブの香りと苦みも心地よく、本日一番のお皿です。
パンは外皮はパリっと、中身はシットシトで美味しい。確か当店はパティシエの存在を主張した料理店であり、なるほどパンのレベルの高さもこのあたりが理由なのかもしれません。
パスタの具材はアスパラとサクラエビ。不味くはないのですが、どこかファミレスめいた料理です。妙に汁気が多く、それでいて辛いのも珍妙です。
メインは「大山鶏のグリル」とのことですが、これまた全然美味しくありません。プロンプターを見ながら作ったような料理であり、気合が入っていない。付け合わせのキノコたちも冷え切っており、料理人としての矜持を感じませんでした。
自慢のデザートはティラミスの再構築であり、ティラミスを牛皮に包んで最中で挟んで手づかみで頂きます。なるほど「Japanese Italian」と称するだけあって興味深いフリースタイルです。原宿辺りで街歩きスイーツとして売り出せば大ヒットするかもしれません。
お茶菓子も凝っていて、いずれもグランメゾンで口にするものと遜色ない味わいです。もうこうなったらスイーツ屋と割り切って、デザートとお茶だけしに来るほうが満足度は高いかもしれません。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。冒頭記した通り6千円のランチとしては粗酒粗餐なので、同じ予算であればロイヤルホストに投じたほうが満足度は高いでしょう。駅ビルブランドで固めたような料理が続くので、ディナータイムも厳しい闘いを強いられる気がします。
他方、殆どのゲストが注文していた1,980円のパスタセットであれば結構な量のサラダも付帯するので、(味は知りませんが)お値打ちに見えました。そういう意味では子供を連れたママさんたちが恵比寿で女子会、みたいな用途には最適かもしれません。あくまで1,980円のパスタセットを食べに行くお店です。大事なことなので2回言いました。

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