ACiD brianza (アシッド ブリアンツァ)/麻布十番

麻布十番~六本木界隈に根を張る民にとってはお馴染みのブリアンツァグループ。その揺籃の地に発酵技術を駆使した「フレンチ×ノルディック」という新たな試みで「ACiD brianza (アシッド ブリアンツァ)」がオープンしました。2023年版のゴエミヨに早速掲載されています。
当初のブリアンツァからは大幅に内装を変え、カウンター席まで用意されていました(写真は食べログ公式ページより)。座席は10席強といったところでしょうか。その割に従業員は4-5人は居たような気がし、わらわらと混み合い落ち着きません。

新たな厨房を統べるのは児玉智也シェフ。札幌のレストランを経て渡欧。オンフルールの「SaQuaNa(サカナ)」やデンマークの「Kadeau」で腕を磨き、帰国後にブリアンツァグループへとジョインしました。
飲み物は高いですねえ。一番安いシャンパーニュで1.2万円であり、ビールも1,100円です(いずれもサ別)。また、半ば強制的にひとり千円ほどの水代を徴収されるので、何だかなあというお気持ちです。もちろんこれは社としての方針であり、現場のスタッフには何の非もありません。というか当店のスタッフは皆とても感じが良いです。
ヤングコーンを焼いたん。何やら色々と塗布されていますが、コアとなるコーンの甘味が強烈で、心温まる味わいです。
牡蠣。店名に違わず酸味が強く、なるほど北欧調の料理だなあと再認識。酸っぱい。
こちらはイーストをどないかした料理で、カリカリとクリスピーな食感が特長的。中にはリードヴォーとスティックセニョールが詰まっており、春菊のソースと相まって意欲的な料理です。
「鰻重」と称した料理はライスと薬味と鰻のかば焼きをガレットで包むという斬新なスタイル。よくよく考えれば全てが和食で用いられる食材であり、ウナギ料理の新たな方向性を指示してくれました。同じ十番の「うなぎ時任」とかやりそう。
モリーユ茸にはホタテが詰まっており、また全体としてコンテの風味が強く、記憶に残る料理です。ソースがたっぷり目ですがワッフルで余すところなく楽しむことができます。
メインは紀州鴨。ムネ(だっけ?)の部分とコンフィにしたモモ肉の部分との2面体制。ソースがブラッド香るドーンとしたソースであり、フランス料理愛好家としては思わず頬が緩む瞬間ですが、人によってはヘヴィに感じてしまうかもしれません。
デザートは濃密な乳脂肪を感じるアイスクリームにイチゴ。真っ黒いソースには昆布を用いているそうです。
お茶菓子が変わっていて、パウンドケーキ(?)がひとスライス出てきます。紅茶と合わせてフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上を食べ、ビールを2杯飲んで水代とサービス代でお会計はひとりあたり1.4万円ほど。うーん、ちょっと高いなあ。いずれの料理も悪くはないのですが、北欧ブームがひと段落した今、敢えてこのジャンルに再挑戦した意図もわかりかねます。京都の「ノーマ(Noma)」に行ったことがありそうな層がドヤリングする対象にもなりかねず、今後がちょっと心配になったランチでした。

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