タツミ (tatsumi)/中目黒

中目黒駅から歩いて7-8分、目黒銀座商店街の奥にある「タツミ (tatsumi)」。内臓系の料理を得意とするカジュアルなフランス料理店です。食べログでは百名店に選出。
店内は奥に細長く、少人数だとカウンター席、グループは手前のテーブル席という振り分けです。おひとりさまの常連客も多く、地元に愛されているお店です。

廣瀬亮シェフは学生時代に「オトワ レストラン(Otowa restaurant)」の音羽和紀シェフの影響を受け、フランス各地で経験を積み、2011年に当店を開業。帰国後は企業の食品開発部などにも所属していたこともあるそうです。
ワインはフランスの手頃なものが多く、安いものでは4千円台のものからありました。スパイシーかつしっかりめな赤ワインも多く、内蔵料理にあわせてガブガブ飲むに最適です。
アミューズはサラミに紫キャベツに何だっけな。全体的に皿出しのテンポが悪いお店なので、こういった小皿でもう少し時間稼ぎしてくれると嬉しいのだけど。
名物の「アバジュレ」。アバとはフランス語で内臓を意味し、素材が持つコラーゲンを活かしてジュレ状に固めています。いわゆる「フロマージュ・ド・テット」のアレンジでしょう。臭みは無いものの旨味が強く、酒のツマミに最適です。
パンは素朴な味わい。ちなみに先の「アバジュレ」から次の料理まで間隔が40分以上も空いており、その間をワインとこのパンだけで繋ぐのは正直しんどかった。
待ちに待ったお次の料理なのですが、思いのほか手が込んでいない料理で驚きました。なんで40分以上も待たされたんや。カウンター目の前の常連客を優先するのは人情として仕方がないと理解しつつも、そんな気持ちで食べる料理の味わいなど中くらいである。
アツアツのオニオングラタンスープ。甘い甘い飴色のタマネギにチーズの旨味がとけこみつつ、じっとりと煮込まれた牛アキレス腱がその美味しさを補強します。
「内臓爆弾」という刺激的なネーミングの料理。内臓の色んな部位が詰まったハンバーグのような物体であり、トッピングの目玉焼きがチャーミングです。ブルンブルンと印象的な歯ごたえの肉にコッテリとした脂の旨味。文句なしの美味しさです。
フランス料理店ですがパスタもあります。こちらは店名を冠した「タツミちゃん」という料理であり、内蔵をたっぷり用いたナポリタンスパゲッティといったところでしょうか。トリッパに匹敵する内臓量であり、記憶に残る味わいです。
以上を食べ、カジュアルなワインをひとり1本ペースで飲んでお会計はひとりあたり1万円強。質実剛健に旨い料理と酒を楽しんでこの支払い金額はリーズナブル。何よりフランスの伝統料理を親しみやすいネーミングで提供し、フランスの内蔵料理の素晴らしさを啓蒙し続けているのが良いですね。

課題は料理の提供スピードの遅さですが、こればっかりは空いている日を引き当てるかどうかの運なのかもしれません。日を改めて、次回はカウンター席に座りたいと思います。

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