すし初(すしはつ)/湯島

春のすし初。この日のラインナップはこんな感じ。相変わらず物凄まじいラインナップである。
アミューズに今が旬、スナップエンドウ。青く爽やかな味わいに舌鼓。他方、白いフサフサはペコリーノロマーノであり、そのミルキーな風味と強い塩気が酒を呼びます。
オクラを塩麹で調味し、ブドウを和えていきます。もうこのあたり鮨屋なのか何屋なのかサッパリわかりません。
お造りは軽い味わいのものからまいります。中でもイカがイカしていますねえ。ねっとりと舌に吸い付くような舌ざわりであり、その甘さが味蕾のひとつひとつを刺激します。
強めのお造り。こちらは水ダコが素晴らしい。グニグニと力強い食感で、ある意味では焼肉屋のミノに近い印象を受けました。中央のボテっとしたブツはカンパチであり、その豊かな脂に淫します。
イサキ。バリっと炙ってパンチのある味覚です。合わせるお酒は「にいだしぜんしゅ めろん3.33」であり、まさにメロンといった口中香ながら余韻は大根おろしのような風味があり、イサキの大根おろしとの繋がりが面白かったです。
ブッラータにカニ、イチゴに紅茶という前衛的な料理。シャリが添えられているのでギリ鮨屋といった状態ですが、どこかフランスのリオレ(riz au lait)すなわちライスプディングのようなニュアンスも感じられ、思わず笑みがこぼれるひと品です。
タケノコの茶碗蒸し。見た目は地味ですが旨味ズバズバであり、これまたフランス料理で言うところのフラン的な腕白さが感じられました。またタケノコのサクサクとした食感を敢えて抑えてクタっとした舌ざわりにしたのも良かったです。
ギンダラの西京漬け。強い調味とその凝縮感が心地よく、白ご飯と御御御付を携えて定食にしてしまいたいくらいです。それを、ああ、酒のアテにしてしまうだなんて贅沢。
ようやく鮨が出てきたのは入店から2.5時間が経過したころ。久米島のエビや極厚切りのマグロが旨いのは当然として、この日はコテコテの脂をたたえたイワシが特に素晴らしかった。
グーグルマップには「鮨がなかなか出ない」「話が長い」といった口コミが並びますが、それはさだまさしのコンサートにトークが長いとケチを付けるようなものなので、そういうものだと割り切って、いやむしろそれを楽しみにして訪れましょう。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。