とり澤(torisawa)/中目黒

焼鳥業界の最高峰「鳥しき」の暖簾分け「鳥さわ」のグループ店「とり澤(torisawa)」。「鳥さわ」と同じく百名店に選出され、六本木店のオープンも果たしました。「鳥さわ」グループの動きが活発で、他には「鳥さわ22」「TORISAWA CA10AL(トリサワ カジュアル)」「鳥さわ ジグボーンクラブ」など多種多様な業態を展開中。
中目黒駅から歩いてすぐ、目黒川沿いの真っ黒なお店に入ると中も真っ黒です(写真は公式ウェブサイトより)。17:30〜と20:30〜の二部制で、1回転あたりに10席強といったとこと。手を伸ばせば届きそうな位置で炭が爆ぜており臨場感抜群です。
飲み物はワインが充実しており、しかもそんなに高くありません。瓶ビールも600円かそこらであり、この手の焼鳥屋としては良心的な価格設定と言えるでしょう。
お通しとして浅漬け。さっぱりとした味覚であり、さあ肉を食べるぞという気分を盛り上げてくれます。大根の鬼おろしは箸休め的に頂き、残りが少なくなればジャンジャン補充してくれます。
生の鶏のレバー。ここのところ南九州を訪れる機会が多く生の鶏肉については一家言あったのですが、なるほど都心の高級店のそれはまた違ったエレガンスを感じました。
さて、焼き物の始まり始まり。他の「鳥さわ」グループと同じくお任せストップ制であり、もうそろそろお腹がいっぱいかなという頃合いをシェフに伝えると、WIPのものを出して終了という仕組みです。

まずはハツモト。心臓の付け根あたりであり、それでいてふっくらとした焼き上がり。この店の焼鳥は旨いぞと語り掛けてくる1番バッターでした。
ししとう。フレッシュな青い味を楽しむ逸品。エグ味などは1ミリもありません。
ささみ。当店のシグネチャーであり、サラっと表面を炙った程度の火入れです。肉そのものの味わいを愉しむひと品。
レバーも本当に沈黙と臓器として24時間働いていたのかと不安になるほどソフトな口当たりであり、舌の上で心地よくとろけています。
つくね。このつくねは美味しいですねえ。個人的にはタレどろどろ卵黄どっぷりなものを好むのですが、このつくねは肉そのものが旨い。つくねの新機軸を垣間見た瞬間です。
うずらの卵はフルフルとゼリーのような外皮にとろりとした卵黄が詰まっています。毎度感心するのですが、この硬度でよく串に刺そうと思ったなあ。
長芋。こんがりと焼かれており、香りも食感も良い。酒を除いてこの日最初の糖質であり、焼鳥ってトレーニングに最適だなあとしみじみ。
砂肝。コリコリシャクシャクとした食感を楽しむ逸品で、何ともいなせな味わいです。
ぼんじり。脂たっぷりコッテリなひと品ですが少しもくどくなく、恐らくきっとコレステロールはゼロでしょう。
マルハツ。いわゆるハツ、心臓なのですが、牛や豚のそれに比べるとクリアな味わいで清らかな味わいです。 
ぎんなん。ホクホクとした食感で無限に食べれる美味しさ。ズバっときいた塩気も心地よい。
だきみ。いわゆる胸肉ですが、皮の部分も付帯するのでジューシーな味わい。サイズも大きく食べ応えがあります。
厚揚げが良いですねえ。もちろん厚揚げは厚揚げなのですが、外皮のカリカリとした歯ざわりに濃い大豆の味わい。薬味もたっぷりで、素朴ながらしみじみ旨いひと皿です。
ちょうちん。卵の部分がバリでかい。つい先日「鳥さわ ジグボーンクラブ」で食べたちょうちんの品質がイマイチだったので、「鳥さわ」系列とは距離を置こうかとすら考えたのですが、何だやっぱり超旨いじゃん。セカンドラインの取り扱いは難しいですね鳥だけに。
せせり。一般的にはグネグネした硬い肉であることが多いですが、こちらは歯を押し返すような弾力と肉そのもののサクサク感を楽しむことができます。ブラインドで食べればせせりと答えられないかもしれません。
やげんナンコツ。こちらもコリコリとした食感が支配的ではあるものの、きちんと肉肉しさも感じられ、むしろナンコツの歯ごたえはアクセントに近い。旨い1本です。
〆の一方は王道のモモ。ガッツリとしたカットで食べ応え充分。モシャモシャとリスのように口を膨らませて大満足のフィニッシュでした。
〆のお食事はそぼろゴハンに卵黄をトッピングしてもらいました。肉の粒子が粗く、これはこれでもう1-2本の焼鳥を食べているかのようなボリューム感。卵黄のとろりとした舌ざわりと濃密な鶏スープの風味が相俟って、我を忘れる美味しさです。

以上を食べ、中くらいに飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。焼鳥で1.5万円と聞くと背筋が伸びますが、そもそも一般的な焼鳥屋に比べて倍の量は口にしているでしょうから、全く割高な感じはしません。

つい先日に隼人の「地鶏の里 永楽荘(えいらくそう)」で鶏肉とは畢竟、素材であると観念したのですが、やはり東京の焼鳥文化はベクトルの異なる価値を感じました。「鳥さわ」グループの中では予約が取り易いほうなので、合間を見てちょくちょくお邪魔したいと思います。

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焼鳥は鶏肉を串に刺して焼いただけなのに、これほどバリエーションが豊かなのが面白いですね。世界的に見ても珍しい料理らしく、外国人をお連れすると意外に喜ばれます。

素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。