プルニエ(RESTAURANT PRUNIER)/丸の内

1922年に「民間初の社交場」として皇居前に建てられた東京會舘の建て替えが完了し、メインダイニング「プルニエ(RESTAURANT PRUNIER)」の営業が再開しました。東京會舘は大政翼賛会の本部が置かれたりGHQの将校クラブとして営業したりと、その数奇な運命を辿るだけでも面白い。ちなみに「パレスホテル」は東京會舘から分離独立したホテルですこれ豆な。
店内はバリバリのグランメゾン。丸の内は日比谷通り沿いであり、窓から皇居のお堀が目の前に見えます。内装には価値が感じられ、サービス陣の一糸乱れぬ動きにはサービス料15%の重みが感じられました。

松本浩之シェフはフランスの星付きレストランなどで経験を積み、帰国後は「レ・ザンジュ」「Restaurant FEU」などの名店でシェフを務めたのち、2019年より当店の厨房を預かります。ミシュラン2023では1ツ星を獲得。
ワインはバカみたいに高いですねえ。外資系ラグジュアリーホテルと同等かそれ以上の値付けであり、サービス料の15%がボディブローのようにきいてきます。我々は苦労してワインリストからお値打ちなボトルを引っ張り出してきましたが、そもそも一休などからワインペアリング付きの税サ込プランで予約したほうが精神衛生上良かったかもしれません。
アミューズはスモークサーモンをペースト状にしたものなのですが、何とも食欲をそそる薫香に誘われ、口に含むと旨味が爆発。見た目以上に凝縮感のある味覚です。
赤貝をフランス料理店で食べるのは珍しい。トマトの酸味を上手く取り入れており、鮨屋で食べるそれとはまた違った魅力のあるひと品です。
パンは2種。カヌレをひっくり返したようなパンにはトリュフがきいており、これが信じられないほど美味しい。瞬で食べ切りおかわりだ!と期待したのですが、パンを持って来てくれたのはただの一度きりであり、ソースを拭うこともできず普通に不便でした。
お魚料理はヒラメ。しっとりと蒸しあがっており滋味あふれる味わいです。ソースには豚足を用いており相当にコッテリしているのですが、ヒラメに不思議と良く合います。黒トリュフの風味の使い分けも見事です。
メインはエゾジカか和牛かのチョイスで、和牛だと4,070円の追加料金(サービス料は別途15%だ)とのことだったので、心の平穏のためにエゾジカを選択しました。しかしながらこの選択は大正解で、官能的な鹿肉のローストに濃厚なソースとトリュフの香りが完璧に調和しています。ピュレなど様々な形に変えた菊芋もお洒落な味わいで、まさに傑作と呼んで良いひと皿でしょう。
メインのデザートに入る前にちょっとした甘味でお口直し。メレンゲの口当たりがどこまでも優しい。
デザートが見事。ドイツの伝統菓子「フォレノワール」を再構築したもので、重みのあるカカオの風味にチェリーをたっぷりと組み込みます。赤ワインのアイスの味覚も洒落ており、まさに大人に向けたスイーツです。
ミニャルディーズも凝っていて、名前はどこにも出ていませんが当店のシェフパティシエは日本トップクラスの腕前に違いありません。一体、誰なんだ。
以上を食べ、控えめに控えめにワインを飲んで水やら何やら含めてお会計はひとりあたり3万円弱。お店の格からすれば思いのほか安くついたなという印象ですが、それでもやっぱり高いです。

また、ただ高いだけでなく、妙に小金せびってくる感が半端ないのが全くロマンチックじゃないですね。何とか1円でも多く課金させようという姿勢が見え見えでかなり萎えます。極めつきは帰り際。若いスタッフが「本日のパンを~」と袋に入れて持ってくるのですが、これが何と別料金の1つ1,480円で、われわれ一同キレイにズッコケました。ケチ臭え。

もちろんこれらのセコい振る舞いにつき現場スタッフたちに非はなく、会社の断固とした営業方針なのだから仕方ないでしょう。シェフをはじめ現場のみんなたちは良い仕事してるのに印象が悪いのは可哀相。細かい金額を気にする貧乏人は来るなと言われればそれまでですが、何とも後味の悪い締めくくりでした。自腹ではなく、接待などのオゴリで訪れるべきお店なのかもしれません。お疲れさまでした。

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