茶寮 宮坂(さりょうみやさか)/六本木

ミシュラン2ツ星「御料理 宮坂」の分店「茶寮 宮坂(さりょうみやさか)」。六本木ヒルズのレジデンス側にあり、私の大好きなフレンチ「Reglisse (レグリス)」の並びにあります。忍者屋敷のようなエクステリアがイカしており、食べログではブロンズメダルを獲得し、百名店にも選出されています。
店内も外装の雰囲気を引き継いでおり、黒を基調としたスタイリッシュなインテリアです(写真は六本木ヒルズ公式ウェブサイトより)。テーブルが数卓にカウンター席も8席はあり、さらに個室もあるとのことで、日本料理店としてはかなりの大箱と言えるでしょう。

五十嵐庄大朗シェフは福島県出身で、この日の食材も福島のものが多かった気がします。京都や実家の日本料理店で経験を積んだ後、宮坂展央シェフの右腕として「御料理 宮坂」を立ち上げ、2017年に当店の厨房を預かりました。
場所柄仕方ないかもしれませんが飲み物は高い。またチェイサーやお茶を意地でも出さない信念を感じたので、そういう店だと割り切って訪れると良いでしょう。

また恐らく同じ時間に予約を入れたグループが15分遅刻し、我々は10分前集合だったので、最初のひと皿が出るまでに30分近くも待たされました。正直者が馬鹿を見る世界です。
温かい料理から始まります。トロサワラに湯葉、ナメコ。お魚に凝縮感があって美味。全体を取りまとめるスープも上質です。
お造りはヒラメにカマス。思いのほか厚切りで食べ応えあり。ムッチリとした食感を楽しみつつ、程よい脂もコクがあります。
お椀は素晴らしいですねえ。松葉ガニのしんじょうには覚醒する旨味が感じられ、キラキラと輝くスープは骨格があり記憶に残る味わいです。プロォと思わず唸ってしまう美味しさでした。
八寸は殆ど芸術的と言って良いほど芸術的。柿の種を衣としてシシャモとしたりと興味深い試みもあり、味だけでなく色々な気づきが得られた料理でした。
菊芋の葛焼き。上品な味わいのお芋さんがフンワリねっちょりと神秘的なぬめりを感じさせる舌ざわりに仕上げています。白味噌のスープに野暮ったい甘さは無く、洗練された旨味を感じました。
焼き物はグジ。表面はバリっと思いきり焼かれており食感にリズムが生まれます。ソースには黒マイタケを用いており、フランス料理的なニュアンスを感じました。
炊き合わせはかぶら、シャモのお団子にホウレン草。徐々に食体験をクールダウンさせていき、この日の余韻を楽しみます。
お食事は白ゴハンなのですが立派なお供がついており、これだけで一食を賄えるほどの存在感です。最初に目に付くのは牛しぐれ煮と温泉卵であり当然に美味しいのですが、左上のお漬物たちも見事な品質でした。
最後はお抹茶に大福。日本料理店のスイーツは微妙なことが多いですが、当店のそれは見事な出来栄えであり、しっとりモチモチした外皮に上質なシャインマスカットが詰まっていました。

以上のコース料理が税込で1.8万円というのはリーズナブルに感じました。酒が高いのと提供速度が遅いのは玉に瑕ですが、お料理そのものの完成度は素晴らしいの一言です。

もちろん場所柄カジュアルな装いの若者も多いので(何故か食事中にチャッカマンをカチャカチャカチャカチャいじってた)、接待などで使用する場合は必ず個室を指定するようにしましょう。

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