紀尾井町 とんかつ・洋食ひとみ/東京ガーデンテラス紀尾井町

「銀座かつかみ」や「とんかつひなた」で腕を振るった日向準一シェフの新店が、今を時めく東京ガーデンテラス紀尾井町の3階レストランフロアに入居しました。これがトンカツ屋かと目を瞠る重厚長大なエクステリアであり、質量以上に扉が重く感じます。
店内も外観と同じテンションで、トンカツ屋というよりも日本料理店のような趣きです。メニューにつき、「平日限定ランチメニュー(2,980円)」に係るネット上の評判はすこぶる悪いので、敢えて最高値の「リブロースかつ(5,380円)」をきよぶたで注文。「ちょい足しカレーソース(380円)」も併せてお願いしました。
とんかつが揚がるまでは千切りキャベツのサラダで繋ぎます。しかしながら、うーん、このキャベツの品質はイマイチですね。素材が悪いのかカットが悪いのかはわかりませんが、瑞々しさとは対極にある元気の無さを感じました。   
真打登場、「リブロースかつ」です。価格は5,380円であり、これまでの私のトンカツ最高値は「とんかつ成蔵(なりくら)」の「TOKYO X 特ロースかつ」の4,980円だったのですが、その値を僅かに超えて来ました。

調味料は「とんかつひなた」のラインナップに似ており、右から岩塩にガーリックソルト、オリーブオイル、バター、ソース。いずれも美味しいのですが、ソースは業務用バリバリのペットボトルを客の目の前で容器に移し替えていたのでテンサゲです。
ここで日向準一シェフ自らが登場し、トンカツの模型を用いながら食べ方を指南してくれます。カツを咥えこむ方向やどっちから食べるなどお作法があって興味深い。

肉は「長右衛門豚」という希少種だそうで、脂は多いのですが覚悟していたよりもクドくなく、甘味や旨味が目立つ逸品。なるほどトンカツとしては高価に感じますが、きちんとした豚肉料理だと捉えればリーズナブルな価格設定でしょう。
白ごはんはコシヒカリと夢ぴりかのブレンドだそうで、米そのものが旨い。先のトンカツにぴったりです。
お新香は自家製のものでしょうか、いずれも手が込んでおり立派な日本料理店で出るそれに比肩する美味しさです。
具沢山の豚汁は豚の香りが心地よく、そのへんの味噌汁とは一線を画した味わいであり、まさに「豚汁」という料理名に相応しい味覚です。
お待ちかね、カレーの時間です。カレーといっても粘度は控えめでサラサラとお茶漬けのよう。また肉は挽肉を用いているようです。380円という価格を考えればもう少し量が欲しいところ。
後生大事にとっておいたカツをライスにのせ、カレーソースを流し込む。これはもう、味わいがどうのこうのというよりも、日本人のDNAにインプットされた快楽に違いありません。
以上を食べて6千円弱。うーん、文句なしに美味しいですが、文句なしに高いです。先に「トンカツとしては高価に感じますが、きちんとした豚肉料理だと捉えればリーズナブルな価格設定」と記しましたが、やっぱ高いものは高い。なんせ「とんかつひなた」の倍額ですからね。1万円が100円ぐらいの感覚の人にオススメしたいお店です。

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私は「とんかつ」という料理をそれほど好みません。だって、豚肉を脂で揚げるだけじゃないですか。それなのに、行列するは調理に時間がかかるわ結構効高価だわで、積極的に取り組もうとしないのです。したがって、私は物凄く「とんかつ」ならびに「とんかつ屋」について、検察官のようにシビアに評価しています。思い入れが無い分、信憑性は高いかもしれません。
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とんかつを「超一流の大衆料理」として、グルメ業界の重鎮たちがひたすら議論を重ねる本。よくもまあとんかつでこれだけ語れるなあと呆れます。ここに記された「殿堂入り」のお店はさすがに外しません。