2020年に京都市役所の西側にオープンした「ドーディチ (DODICI)」。コロナ禍を物ともせず、あっという間にミシュラン1ツ星を獲得です。ちなみに店名はイタリア語で「12」を意味し、月ごとにメニューを変えているようです。
入店してまずはウェイティングルームへと案内され、ウェルカムドリンクで人心地つきます。エクステリアがカッコイイですが、インテリアはもっとカッコイイですねえ。京都のレストランでウェイティングルームを用意する店は珍しく、暖炉もあって、さあ今からごちそうだ!という気分をあげぽよしてくれます。
2階のダイニングはポップな色合いで、熟したティファニーのような内装です(写真は公式ウェブサイトより)。ダイニングは20席ほどで、あとは1階に個室がひとつ。急な階段を上り下りするので、足腰が丈夫なうちに訪れると良いでしょう。尾本寛シェフはイタリアの星付き店などで経験を積み、また、支配人の中島丈晶ソムリエも元々はイタリアンの料理人であり(西麻布「アルポルト」でだ)、渡伊後イタリアのソムリエ資格も取得するという稀有な経歴です。
当店オリジナルのビールがあったので試しに注文。華やかな味わいで美味しいのですが、思いのほか上品な量であり、これで1,500円前後というのはビールにしては高く感じました。グラスワインのセットは3杯5千円強という価格設定だったので、そっちにすれば良かったかなあ。
まずは本マグロのタルタルから。マグロの美味しさは当然として、長芋やキュウリのシャクシャク感との対比が良いですね。「もものすけ」というカブを発酵させたソースも洒落ており、全体的に酸味で上手くまとまったひと皿です。
スープはレンズ豆を軸に置き、玉ねぎとジャガイモで深みを加えて行きます。トリュフの量もちょうど良く、バランスの良いひと品でした。
トマトソースのシンプルなパスタなのですが、目を瞠るモッツァレッラ・ディ・ブーファラ・カンパーナの量であり、四捨五入すると水牛かもれません。輸送費を考えれば大変な高級品なのに実に気前の良い店である。
フォカッチャはローズマリーの風味が上品にきいており、素朴な美味しさです。添えられたシチリアのオリーブオイルも大変美味しい。
リゾットには近江牛のスネ肉と春菊を組み込みます。ベースはバターとパルミジャーノ・レッジャーノとシンプルな味付けなのですが、牛のエキスの骨格のある旨味が大黒柱となる、頼りがいのある味覚です。
メインは豚肉のロースト。ソースはマディラソースなのですが、八角の風味もきかせており、どこか中華料理のニュアンスすら感じられました。
デザートは安納芋特集。ホクホクとしたお芋さんにジェラートとなったお芋さんも実に滑らか。中央の白味噌のソースも興味深い試みです。
お茶菓子も凝っていて、左からギモーブ・フィナンシェ・シュークリームとフランス料理的な緻密さが感じられました。一杯一杯丁寧に淹れられるドリップコーヒーも見事な出来栄えであり、イタリア料理としてはかなりエレガントな食後感です。
以上のランチコースが税サ込で7千円ほど。3杯のワインセットを付けても1.4万円ほどであり、この質と量を楽しんでこの支払金額は大変お値打ち。またハコのカッコよさや接客レベルの高さなど、そのへんのイタリアンレストランとは一線を画す完成度です。ちょっとカッコつけたいデートに最適。サービスマンたちもきっと味方についてくれるはず。めいいっぱいオシャレして訪れましょう。
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