彦根城からほど近い住宅街にある「料亭旅館 やす井」。1872年創業の老舗であり、彦根きってのスモールラグジュアリーホテルです。今回は当館自慢の夕食をご紹介。
近江牛に胸を張るので、鉄板焼きの設備のある個室でのディナーを必須として予約を入れさせて頂きました。たったふたりでこの空間を貸切るのは何とも贅沢。しかしながら、スタッフから入り口のガラス越しにジッと監視されており、何だか落ち着かない夕食です。OTAのプランか何かでハーフサイズのスパークリングワインが付いてきました。が、うーん、これは酒屋で千円かそこらのブツですね。わかる人にはわかるので、こんなもん出すくらいなら生ビール1杯サービスぐらいのほうが無難かもしれません。
先付はスッポンのスープ(?)にビワマスの昆布〆など。スッポンの風味に厚みがあり、生姜もキッチリきいていて美味しかった。
お造りはハタにツブガイ、にフナ。いずれも普通に美味しいですが、旅行者向けにフナは鮒ずしのようのパンチのきいた皿にしても良かったかもしれません。
お椀が美味しい。特大サイズのひろうすにタイ。いずれも食べ応えがあり、またみぞれ仕立てで粘度があるため腹に良く溜まりました。
お口直しに少し炙ったホタテにリンゴ、チーズ。ホタテは悪くないのですが、チーズがそのへんのスーパーで売っているカマンベール風チーズであり嘘っぽく感じました。ここはひとつケチらずにナチュラルチーズを起用したほうが良いでしょう。
主役の近江牛の鉄板焼き。まずはランプ肉で、赤身の風味が強く素直に美味しい。
続いてミスジなのですが、こっちの食べるテンポ無視でジャンジャン焼き始まってしまい、皿の上が渋滞中。結果的に冷めてしまい脂も浮いてしまったので、本来の美味しさは楽しめませんでした。
酢の物にうざくが出て来て嬉しい。鰻の量もたっぷりで、本日一番のお皿でした。
お食事は近江米とのことですが、炊き加減がグズグズでそのへんの定食屋のそれと大差なく、大声で、泣いちゃった。
デザートは堀川ごぼうの砂糖まぶしチップス(?)が意欲的な作品で面白かったです。
2人で1泊2食付きで泊まって総額8万円弱なので、このディナーはひとりあたり2万円ぐらいでしょうか。だとすると、ちょっと高いなあ。料亭旅館と銘打つ割に近江牛という素材に全振りしており、であれば「肉料理ふくなが」のような専門店で楽しんだほうが納得感が高かったかもしれません。接客も真心は伝わるのですが洗練されてはおらず、この価格帯の食体験としては精彩に欠けたように感じました。
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