鹿児島空港から車で20-30分ほどの場所にある「すし屋のやま八」。地元民に評判の良い鮨屋であり、このあたりの飲み屋街においても頭ひとつ抜けた存在とのことです。JRの国分駅からだと歩いて10分ほど。
店内は思いのほか広く、十数席にも及ぶカウンター席に小上がり・宴会場と様々な用途に対応できます。ネタケースには新鮮な魚介類がズラり。テレビからはNHKのニュースが流れ、雰囲気は気の置けない町の寿司屋そのものです。酒は安い。生ビールは660円で、日本酒も1合千円かそこらです。ただやはりこのあたりは焼酎文化圏であり、最安値の焼酎はグラスで300円台。廻らない鮨屋で300円台のドリンクを初めて見た。
にぎりのセットかツマミ付きのコースかを選ぶことができるのですが、せっかくなのでコースで注文。最初のツマミにつき、中央のマグロの皮を湯引き(?)してどないかしたやつが食感含めて美味しかった。
お造りはハタ、クルマエビ、アワビ、マグロの頬肉、カンパチ、タイ。クルマエビは目の前の水槽から引っ張り上げて剥いたばかりの代物。アワビはコリコリを通り越してゴリゴリとした歯ごたえで乙な味。
茶碗蒸しは超普通ですね。もちろん美味しいのですが、正直、回転寿司のそれとの有意な差は見出せませんでした。煮魚はクエ。かなりのボリュームで、これにゴハンと味噌汁を付ければ立派な定食が出来上がるほど。胃袋の部分がマッチョな食感で美味しかった。
にぎりに入ります。1カンづつではなくある程度のバッチ処理での提供で、特に混んでいるわけでもなかったので、そういうスタイルなのでしょう。左からハタ、中トロ、ヒラメ、コハダ、イカ。
「シャリは大・中・小のどのサイズにしましょうか?」と融通が利くのが面白い。ただ、当店のシャリは酸味が穏やかすぎるきらいがあり、私の口にはありませんでした。どうにも物足りなく、ガリで味わいを補強する運用です。ウニは当然に美味しいのですが、よくこんなに小さく作ったなと感心するほどのサイズ感です。
イクラについても同様の物寂しさ。これなら無理に高級食材など用いずに、アジなどリーズナブルなタネをしっかり愉しんだ方が印象が良い気がします。
巻物はカンピョウにタクアンに中落ち。煮魚の量が多かったからか、なんやかんやでお腹いっぱいになりました。
お椀は良いですね。タイの身がゴロゴロと入っており、そのエキスが滲み出たスープもエレガントな味わいです。
ギョクと抹茶アイスクリームでフィニッシュ。ごちそうさまでした。
以上のコース料理が5,500円で、軽く飲んでお会計はひとりあたり7-8千円といったところ。シャリが私の好みでなかった点は残念ですが、それはまあ人好き好きですし、支払金額を考えたら悪くない費用対効果です。お酒も高くないので、ちょっと豪華な飲み会などにも良いかもしれません。
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
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この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。