銀座「グッチ並木」の最上階に位置する「Gucci Osteria da Massimo Bottura(グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ)」。グッチのレストランとしてはフィレンツェとLAに続き世界で3店舗目。現在はソウルに4店舗目がオープンしたとのこと。
エントランスからエレベーターに向かうまでのアプローチが圧巻。ミステリアスというか何と言うか、このセンスはすごいなあ。私がオーナーだったらビビってゴーサインできない、かなり奇抜な内装です。
エレベーターで最上階に到着。東京のレストランとしては珍しくウェイティングスペースが用意されており奥にはテラス席も。気候の良い時期にはアペリティーボを楽しんだりもできるそうです。ダイニングのインテリアも激しく、ややもするとタッキースタイルと捉えられかねないデザインです。加えてお花がそこかしこに飾られているのが印象的ですね。都内のレストランとしては最もお花に凝った店かもしれません。
細く長いグリッシーニと共に食前酒を。ワインリストはありますがカジュアルなドリンクメニューは無く、この日用意されているグラスワインは口頭での説明です。うーん、この接客スタイルはどうなんだろう。ソムリエがそんなに産地ばっかベラベラ口述してもゲストに緊張を強いるだけだと思うのだけれど。ちなみにお会計時に明細を確認するとグラスワインは1杯4千円を超える価格設定であり、どこがオステリア(居酒屋)やねんと思わず毒づいてしまいました。早速アミューズがズラり。いずれも手の込んだ品々であり、これ以上無いという完成度です。提供までのスピード感も悪くなく、最高級店としての凄味を感じる瞬間です。
フォカッチャにクリーム、ハチミツ、トリュフ。シンプルな組み合わせでありどこにでもありそうな料理ですが味覚に精緻なグラデーションがあり、感得する美味しさです。
牛のタルタル(?)にキノコのお出汁を流し込みます。こちらも決して派手というわけではありませんが見事な出来の料理であり、レンゲでモリモリ食べたいほどの美味しさでした。
パンはどっしりと重厚な味覚であり、イタリアンレストランとしては珍しいスタイルかもしれません。この後、ソースがコッテリな場面が続くので、それらを拭って食べると、それだけで立派な料理です。
パスタ料理は「トルテッリーニ パルミジャーノレッジャーノ クリーム」。詰め物がされたラビオリ的なひと品なのですが、ソースがべらぼうに美味しい。30か月熟成させたパルミジャーノ・レッジャーノを気前良く用いており、今あなたが想像しているチーズの風味の5倍は濃いでしょう。
メインは豚肉。厚めにカットしたものを低温で熱を通し、その後に濃厚なソースと共に仕上げます。個体差かもしれませんが異常に脂が多く、調理や調味は好きなのですが胸焼けするひと品です。半分は美味しく、もう半分は美味しくありませんでした。
デザートはババ。生地にたっぷりとラムを染み込ませ、甘さ控えめの生クリームと合わせてシットリと宴を締めくくります。パイナップルの陽キャな甘味が心地よい。
お茶菓子も凝っていて、やはりこういう部分に凄味を感じてしまいます。冒頭のアミューズにせよ、装花にせよ、当店はこういった小物の取り扱いに長けているのかもしれません。食後のお茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり2万円といったところ。ランチでこうなのだから、ディナーでしっかり飲み食いすれば5-6万円は当たり前の世界です。そのため立地や空間づくりに余念はなく、グッチラヴァーであれば一度は訪れておくべき必修科目と言えるでしょう。
一方で、客に緊張を強いるタイプの店でもあるので、若いカップルがお祝い事で訪れるには全くオススメしません。私の場合は別にそんなにノンビリ食べているわけでもないのに「もう閉店なので」と早く退店するよう追い立てられたことを未だに根に持っています。そんなに自分たちのアイドルタイムが大切ならもっと早い時間の予約に限定すればいいのに。
そういう意味で、お客様に大切な時間を過ごしてもらおうという意識は全く欠落しており、同じハイブランドが手掛けるレストラン、例えば「シャネル」や「ブルガリ」などと比べるとサービス面で明らかに見劣りするように私は感じました。
食事を楽しみながら素敵な時間を過ごすというよりは、グッチの世界観を覗き見するためだけの観光地。グッチが好きで好きで仕方がないなど特殊な事情が無い限りは後回しで良いでしょう。
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日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。