ハノイ名物と言えば「ビアホイ(Bia Hơi)」。もともとはHABECO TRADING(ハベコトレーディング)社の「BIA HƠI HÀ NỘI(ビアホイハノイ)」を指す言葉でしたが、転じてこの生ビールを取り扱うビアホール・ビアガーデン風レストランのことを「ビアホイ(Bia Hơi)」と呼ぶようになりました。
われわれはGrab(配車サービスアプリ)を用いて「Bia Thu Hằng」というビアホイに辿り着きました。正しい店名の発音・カタカナ読みは存じ上げません。たまたまGoogleマップで評判良さそうだったので適当に突撃しただけです。突然の異国からの闖入者に店全体の視線が突き刺さる。今夜のスターはそう、私である。英語メニューなど洒落たものはなく、英語を解するスタッフもひとりもいません。仕方がないのでジョッキをクイっとやるジェスチャーのあとにピースサインを出すと、無事に生ビールが2杯到着しました。これが「世界で最も安いビール」と評される液体であり、アルコール度数が低くゴクゴク飲めてしまいます。
お通しという位置付けでしょうか、塩の効いたピーナッツに葉っぱに包まれた謎の物体が供されます。使い捨てのおしぼりは有料で、使った分だけ課金されていきます。このおしぼりを用いてお皿やカトラリーをセルフで拭き上げたのち食事に臨むのがベトナム流です。葉っぱを開く。肉っぽいニュアンスがあるような気がしますが、何なのかは判然としません。どうして真空パックで厳かに密封されているんだろう。世の中知らないことばかりである。
こちらは牛肉とタケノコの炒め物でしょうか。一般的なチンジャオロースの200倍ぐらいタケノコが入っており、タケノコ特有のエグ味もなく普通に美味しい。牛肉のカットも大きく食べ応えがあります。
同じくGoogleマップの写真から指差し注文すると、スタッフが身振り手振りで強く何かを訴えかけようとしてきます。きっと「君たち注文し過ぎだ、食べきれないぞ」という意味だと解釈し、それならば問題なしと鷹揚に頷きます。
「海老」をGoogle翻訳すると「con tôm」と表示され、その単語を従業員に見せると、このひと皿がやってきました。日本で言うところの川海老の素揚げ的な料理でしょうか。海老の身というよりも殻を含めた甲殻類のコクを楽しむスナックです。
これまたGoogleマップの写真で指差し注文。何かの野菜の炒め物であり、程よい塩気に強いグリーンの風味。中華料理で言うところの青菜の炒め物に近い料理でした。こちらは牛肉とタケノコの炒め物でしょうか。一般的なチンジャオロースの200倍ぐらいタケノコが入っており、タケノコ特有のエグ味もなく普通に美味しい。牛肉のカットも大きく食べ応えがあります。
同じくGoogleマップの写真から指差し注文すると、スタッフが身振り手振りで強く何かを訴えかけようとしてきます。きっと「君たち注文し過ぎだ、食べきれないぞ」という意味だと解釈し、それならば問題なしと鷹揚に頷きます。
やれやれ、といった態度でスタッフが持ってきた料理はむっちゃくせぇ。豚肉の内臓をどないかした料理のようですが臭みを取り切るようなことはせず、その特有の匂いを楽しむ料理のようです。フランス料理で言うところのアンドゥイエットに近くもある。なるほどスタッフの慌てっぷりは「この料理はクセが強烈だからやめておいたほうが良い」の意味だったようです。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとり千円か2千円といった程度。きちんと明細書も提示され控えとしてコピーも渡してくれるという明朗会計であり非常にお値打ち。ひと品ひと品のボリュームが大きいので、多くの品数を注文できないのが残念。そういえば周りのゲストは5人10人のグループ客は当たり前で、ジャンジャンと何十皿も注文しています。
みな朗らかに宴会を楽しみ、働いているスタッフたちも楽しそう。やっぱこういう空間とか料理とか、ラーメンとか牛丼とかを素直に旨いと言える人生がちょうど良いなと感じたディナーでした。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。