駒沢通り沿い、目黒区総合庁舎の斜向かいにある「バロン(Ballon)」。100%ヴィーガンという日本では未だ珍しいコンセプトのお店であり、小さいお店ながら地元民の中では根強い人気があります。店名はバレエ用語の「飛んでいるときの軽い動き」に由来しているそうです。
テイクアウトやデリバリに強いお店であり、注文は通り沿いの小窓から行います。店内のイートインスペースは4-5席程度なので、みんなでランチといった用途には不向きなのでご注意を。
オーナーは累計300万部超の料理本シリーズ『作ってあげたい彼ごはん』の著者、マダム岡田史織。パリ滞在中にファラフェルを中心としたヴィーガン文化に感化され、日本での開業を目指したそうです。確かにお店の雰囲気が「L'As du Fallafel(ラス・ドュ・ファラフェル)」などマレのファラフェル屋に似ている気がします。せっかくなので主力商品を全部、すなわち「ファラフェルサンド」に「ファラフェルサダボウル」「ヴィーガントマトスープ」を注文しました。ちなみに「ファラフェル」とはヒヨコ豆などの豆類から作ったコロッケのような中東の食べ物です。
まずは「ヴィーガントマトスープ」。動物性食材不使用の100%ヴィーガンのスープです。お、これは中々おいしいぞ。トマトの風味が立っており、甘味と酸味の主張がつよつよです。ヴィーガン云々を抜きにしてスープとして純粋に美味しい。量もたっぷりで、380円というのはお値打ちです。
「ファラフェルサラダボウル」は980円。ファラフェルだけでなく多種多様なお野菜たちがテンコ盛り。調味はビネガーが支配的で、酸っぱい料理が苦手な方はちょっとアレかもしれません。個人的にはビストロの前菜盛り合わせをサラダ化したような食べ応えでとても好きです。
ファラフェルは小粒なタイプであり、個人的にはもっとボリューム感があるほうが好きかもしれません。それでも白金高輪「HAPPY HOUR(ハッピーアワー)」の値付け(千五百円超)に比べると価格は抑えられており、東京で食べるファラフェルとしては良心的な価格設定でしょう。
「ファラフェルサンド」は930円。やはりファラフェルは小粒であり「ファラフェルブラザーズ(Falafel Brothers)」のそれに比べると食べ応えがありません。野菜も「ファラフェルサラダボウル」に比べると随分少なく感じたので、個人的には「ファラフェルサラダボウル」のほうが満足度が高かった。
いずれにせよ、完全菜食フードとは思えないほどの食べ応えであり、ヴィーガンかどうかを抜きにしても食事として美味しい。そう、旨い料理は身体にも良いものである。今度は卵、乳製品、砂糖を使わずに作られた100%植物性のソフトクリームも付けてみよう。
ちなみに当店の斜向かいにある目黒区総合庁舎は日本を代表する建築家、村野藤吾の代表作であり、BSテレ東の「名建築で昼食を」のエピソード5でも取り上げられています(アマプラで実質無料で観ることができる)。
元々は千代田生命保険の本社ビルでしたが、破たん後に目黒区が買い取って区役所として活用するという面白い試み。茶室があったり屋上庭園があったり、果てはフォトウェディングもできたりと、目黒区の意欲を感じる施設です。区役所で結婚式ってフランスみたいでいいなあ。ちなみにフランスの結婚は結婚式を市役所で挙げて市長がサインするまでがワンセットの基本ルールであり、その取り決めの煩雑さからPACSという事実婚制度が流行した、という説を思い出しました。
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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- サエキ飯店 ←食堂系中華の最高峰。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。