亀戸の人気焼鳥店「鳥さわ」が白金の地に新業態をオープン。何でも「麺と焼鳥とトリス」がコンセプトのカジュアル店だそう。十番の「TORISAWA CA10AL(トリサワ カジュアル)」はカジュアルと言いつつ全然カジュアルじゃなかったので、今度こそカジュアルに期待します。
元々は古民家なのでしょうか、ハルクが暴れ去った後のような廃墟感があり、あまり食事を楽しむような雰囲気ではありません。食堂のようにドーンと大きいテーブルがあって、そこで他の客と相席するスタイルなのも、コロナ向きではないでしょう。そういえばスタッフは皆顎マスクだったので、そのあたりは無敵なのかもしれません。BGMも激しく昭和だ。
カウンターに向かって口頭注文し、着席前にお支払いを済ませます。現金のみです。「お飲み物は?」と酒頼めよ圧が凄いのですが、この廃屋のような内装なのに謎にハイボールが900円もするのでパス。卓上の水で凌ぎます。
串物は1本3-400円です。こちらは「かしわ」と「せせり」。いずれも悪くないのですが、雰囲気に飲まれてしまってあまり美味しく感じませんでした。
こちらは「つくね」と「ちょうちん」なのですが、いずれも中心温度が冷え冷えであり不吉な味覚です。「きんかん」の部分などもはやひんやりと冷たいレベルであり、やはり焼鳥という料理は「鳥さわ」のようなきちんとした店舗で食べるべきだなと実感しました。「きのこトリスヌードル」は1,200円。ドロっとした口当たりの鶏白湯は流石の美味しさで、臭みなどもなく胃袋にしっくり来ます。キノコは絵的には面白いのですが味わいとしては印象に残らず、これはスープを楽しむ料理と割り切って「素トリスヌードル」を注文するのが正解かもしれません。
また壁に油性ペンで「ラーメンではありません」と記されているように、中華麺ではなく素麺を起用しています。スープには良く絡むのですが、麺そのものにコクは感じられず、パっとしない味覚です。
「鳥さわ」の新店!と期待していただけにガッカリでした。「鳥さわ」未体験者にとってのゲートウェイとしては「なーんだこんなもんか」という印象でしょうし、「鳥さわ」常連客にとっては「随分デグレードしたなあ」という感想で、どういった客層を喜ばそうとしているのかイマイチ見えませんでした。
また「鳥さわ」の威は借っているものの、あまりやる気のある商売に思えず、この地で5年10年頑張っていくんだという気迫めいたものが感じられませんでした。私自身「鳥さわ」の焼鳥が大好きだっただけに色々と残念。応援していたインディーズのロックバンドがメジャーデビューした後に、カノンコードの気持ちの悪いバラードを歌い出したのを聞かされたような食後感でした。
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