加賀屋別邸 松乃碧(かがやべってい まつのみどり、夕食)/和倉温泉(石川)

和倉温泉の王者「加賀屋(かがや)」。石川県はもとより全国的に知名度の高い旅館であり、「日本一のもてなし」を受けることができる宿として絶大な知名度と人気を誇ります。

今回はその加賀屋が2015年に開業した「加賀屋別邸 松乃碧(かがやべってい まつのみどり)」をご紹介。部屋数を30ほどに絞った子供NGのスモールラグジュアリーです。
夕食は2階のダイニングで頂きます。ダイニングと言っても個室が用意された上で担当の給仕も付き、居心地は大変良いです。
宿のコンセプトが「オールインクルーシブ」なので、アルコールを含むドリンクが飲み放題。もちろん値の張るお酒はオンリストされていませんが、そこは量でカバーします。私は能登で造られるワインを中心に頂きました。
先付に水ダコと蒸しアワビ。水ダコの歯を弾き返しそうな弾力が印象的。サッパリとしたひと品です。
前菜は色々出てくるのですが、作り置き感が半端なくテンサゲです。もちろん旅館の食事とはそういうものであり、仕方ないと言えば仕方ありません。
小吸物としてスッポン。スッポンの身が熱くとろみのあるスープに包まれており絶品。松の実の食感も程よいアクセント。
お造りはアオリイカに甘海老、フグ、マグロ。いずれも上質なものであり、とりわけアオリイカの清らかさに心を奪われました。(種類が違うのかもしれませんが)フグを薄造りでなく所謂普通のお刺身状態で食べるのも新しい。
焼物として牛肉。が、これは全然美味しくないですね。1泊10万円の宿で食べるには貧相な牛肉。火も通り過ぎており、これでは焼物というよりも牛の焼死体です。
この料理は何だろう。黄色いのは恐らく卵であり、中には海老が詰まっていました。食べ進めていくうちに卵が解けていき、かきたま汁のように移り変わっていきました。
〆のお食事はごくごくシンプル。悪くはないのですが、シンプルで物足りないお気持ちも強い。焼き物をひと皿追加するか、もっと派手派手な〆の食事を用意してもらいたいところです。
デザートは盛り付けがダサいというか何と言うかブルーシール感が否めません。

1泊10万円で、2人で泊まるのでひとりあたり5万円。夕朝食がついて常に飲み放題ということを考えれば、まあ、こんなものでしょうか。食事そのものは居酒屋に毛が生えた程度であり、そこを何とか酒の量でカバーしています。酒を主軸に旨いツマミが出るくらいのテンションで訪れると良いでしょう。

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「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。