新千歳空港近くのバーベキューと言えば「東千歳バーベキュー」がカルト的な人気を誇りますが、ココ「和牛レストラン ログハウス びび」も根強い人気を誇ります。店名の通り森の中にあるしっかりした誂えのログハウスであり、掘っ立て小屋のような「東千歳バーベキュー」に比べると安定感が感じられます。
店内はまさにログハウスで、窓からはグリーンが映え雰囲気抜群。従業員の皆さんはテキパキと動き神経症的にテーブルやメニューなどを拭き、「東千歳バーベキュー」とは方向性が真逆の、とてもとても清潔なお店です。土曜日の14:30という中途半端な時間に予約ナシで訪れましたが残りの1卓に滑り込んで満席という人気ぶり。旅行者はきちんと予約していくべきお店でしょう。
自慢は地元のブランド和牛「白老牛」ですが、北海道らしく生ラムジンギスカンも用意されており、また鶏肉や豚肉も道産で見逃せません。今回はアラカルトメニューで好きなものを好きなだけ注文しましたが、コースでの提供もあり、平日限定のランチセットもあるようです。
「トマトサラダ」はトマト丸々ひとつを丁寧に湯剥きして盛り付けます。ちょっとした洋食店のひと品のようであり、室内バーベキュー場としては大変手の込んだひと品でしょう。
自家製ピクルスも注文したのですが、輪切り細切りのキュウリがこれでもかと盛り付けられており、これで330円というのは大変お値打ち。底にはレタスもギュウギュウに敷き詰められており、これひとつで充分にサラダの役割を果たせるかもしれません。
お肉に参ります。まずは「生ラムジンギスカン」。部位は肩ロースであり、ミルキーな風味の脂の風味が素晴らしい。そのへんのフランス料理店で用いるラムよりも余程上質です。
中札内産の若鶏。部位は「レッグ」と表現していましたが、いわゆるモモ肉でしょうか。炭火の網焼きで皮からバリバリっと焼いていくのですが、これが旨いのなんのって。「串打ち三年、焼き一生」という格言を無力化する素材そのもののレベルの高さです。
「焼き野菜」も注文したのですが、肉の皿それぞれに付け合わせとして野菜も付属するので、あえて注文する必要は無かったかもしれません。上富良野産の豚肉。部位はカルビで、見た目の通り脂身が支配的なのですが、これは不思議と全くしつこくなく、ジューシーですこぶる旨い。セルフで炭火で焼くだけでこんなに美味しいだなんて、東京の何千円もするトンカツは一体なんなんだろう。
真打登場、「和牛盛り合わせ」です。前述の通り「白老牛」という地元のブランド和牛であり、部位はバラと赤身。もちろん美味しいのですが、東京のちょっとした焼肉屋であればお馴染みの味わいであるため、これまでのラム・鶏・豚肉に比べると印象が薄い。それでも180グラムで1,840円というのは相当にお値打ちです。
「やはり鶏が旨かった」とのことで、再びチキンに戻ります。今回はセセリであり、東京の焼鳥屋であればそのコリコリとした歯ごたえを楽しむ部位ですが、当店のそれは不思議と柔らかく、その食感と肉そのものの味と脂が調和し、心に残る味わいでした。
この日われわれは心身ともに絶好調で、ひとりあたり500グラム近く食べたはずなのですが、それでもお会計はひとりあたり4千円かそこらです。これはいい、すごくいい。
車でしか来れない場所にあり酒が飲めないのが唯一の難点なのですが、一方で、ハンドルキーパーを確保しているのか店の奥ではゴルフ帰りのオヤジたちが十数人で大宴会を楽しんでおり、なんと見事な打ち上げなんだ幹事のセンス半端ねえと舌を巻く。
「東千歳バーベキュー」も楽しいお店ですが、綺麗な店内でシステマティックにバラエティーに富んだ地元の食材を楽しみたいのであれば断然こっち。空港到着後もしくは出発前に是非どうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。