二条有恒(にじょうありつね)/京都市役所前

京都市役所前駅から歩いて数分の場所にある「二条有恒(にじょうありつね)」。お店のコンセプトは「大人が楽しむ居酒屋」ですが、エクステリアや内装、料理人の佇まいなどいずれもビシっと決まっており、きちんとした割烹料理屋にお邪魔するつもりで訪れましょう。
店内はカウンターが7-8席に2名用テーブルと個室(写真は公式ウェブサイトより)。あまり大勢で訪れる雰囲気では無く、2-3人で訪れるのが良いでしょう。一方で、「30分後に2名で大丈夫ですか~?」のような電話も多く、意外にカジュアルに使っている方もいるようです。オトナです。
お酒は意外にもワインが豊富。でボトルで1万円前後が最多価格帯です。私は日本酒が中心で、グラスで800円前後といったところです。もちろんビールやハイボール、焼酎もあります。
お通しが凝っていて、焼いた茄子にイチヂクと赤万願寺唐辛子を添え、黒ゴマのペーストで頂きます。黒ゴマのペーストがいいですねえ。見た目は和食なのですが不思議とフランス料理的な味覚を感じました。
ここから先は全てアラカルトで注文で、好きなものを好きなだけ注文してきます。各々の料理値段が記されていないのがちょっと怖く、また、そもそも達筆すぎて日本語が読めない箇所も多いです。
まずはお造りを盛り合わせで頂きました。天然のタイに剣先イカ、マグロにハモ。天然のタイが抜群に美味しいですねえ。ギッチギチに弾力が跳ねており、噛みしめる程に上品な甘味を堪能することができます。
アジはなめろうにしてもらいました。トントントントントントントントントントントントントントントントンと神経症的なまでに細かく素材を叩いた後に控えめに調味。素材そのものの風味を活かした逸品です。
タイが旨かったので、カマの部分を焼いてもらいました。焼き物は炭火でじっくりと火を通していくスタイルで、目の前で香りを放ちながらジュワジュワと焼き目がついていく様がいとをかし。どろっとしたタレで思いきりの良い調味でありお酒が大そう進みました。
カニクリームコロッケ。ふたつ並んでいますがこの日わたしはソロ活動に勤しんでおり、つまりひとりでふたつ頂いております。何しろ力が有り余っているんだ。
炭火焼きが良かったので、今度は地鶏を焼いてもらいました。むっちりと筋肉を感じさせる歯ざわりであり、繊維の一本一本から鶏の旨味が感じられます。皮目の部分のジューシーな脂を含め、焼鳥の専門店を凌駕する美味しさです。
地鶏のつくねも出て来ました。先のガッチリとした食感とは一転、滑らかにミンチされており繊細な味わい。卵黄を用いたソースも悪魔的な美味しさで、そろそろサカってきたかもしれません。
〆のお食事にびふかつサンドをオーダー。肉の旨味に脂の甘味、フルーティーなソースにパンの優しい糖分と、得も言われぬ美味しさです。カツサンドのカツは豚肉よりも牛肉のほうが向いているのではないか。そんな疑念が生じたひと皿でした。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は1.5万円。東京の似たような店、例えば「麻布六角」などで同じ質・量を食せば倍は請求されることでしょう。料理は本格的な割烹のそれですが、お店の方も気さくな客あしらい含め居心地の良さは小料理屋といった印象。近所の「呑喜屋むね(のんきやむね)」もそうですが、京都にはこういったスタイルの佳店がたくさんあるなあ。

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