うまいものや高砂茶寮(たかさごさりょう)/松任(石川)

石川の酒どころ白山。老舗の造り酒屋「金谷酒造店」が手掛けるフランス料理店「うまいものや高砂茶寮(たかさごさりょう)」にお邪魔します。
土蔵を改装したレストランですが、カッコイイのは躯体のみであり、独特のセンスを奏でる装飾品やお手洗いを案内する張り紙などがその雰囲気を台無しにしています。スタッフもファミレスの店員から愛想を抜いたようなスタイルであり、イベントや会食で利用するのは難しいでしょう。
まずは「稚鮎のラビゴットソース」なのですが、何年前に揚げたのだと舌打ちしたくなるほど冷えきっており、悪い油が浮いています。「ラビゴットソース」も取ってつけたような味わいであり、のっけから乱気流に向かってまっしぐらです。
「夏野菜と帆立の焼き漬しサラダ」もコンビニのサラダを器に盛っただけのようなクオリティであり、心が全くこもっていません。
「ムール貝のフラン はもの天ぷら添え」につき、こちらは辛うじて揚げたてで悪くない味覚です。フランの生地も悪くない味わいですが、ムール貝が辛抱ならん味わいで頭の中がトワイライトします。
「加賀太胡瓜と鶏おぼろのスープ」もそこそこ食べれるのですが、料理名と実際のブツとのイメージギャップにジャベリンでも撃ち込みたくなります。
パンには造り酒屋らしく酒粕を用いているのですが、ただ単に酒粕を用いているだけであり、ネジが緩んだ味わいです。
「白身魚のポワレ ホワイト&トマトソース 七夕仕立て」につき、魚そのものの質はそう悪くない気がするのですが、得体の知れないソースが全体の調和を乱しており、また、「七夕仕立て」なる装飾が頭のワルサーP38。まさに失笑とも言うべきプレゼンテーションです。
グラニテにつき、私は運転があるのでリンゴシャーベットに変更してもらいましたが、これは無難に美味しく本日一番の味わいです。連れは「高砂大吟醸グラニテ」で、こちらも完成度が高かったとのこと。
「牛肉(和牛脂入)グリルぷちぷちマスタード和風ソース」なのですが、車麩が出汁をぐにゃんぐにゃんに吸っており、不気味で気持ちが悪い。先の魚にせよこの肉にせよ、普通に塩コショウで焼いただけのほうが余程美味しいと思うのだけれど。
「桃と生ハムのカッペリーニ」は本日の集大成とも言うべき絶望的な味覚です。安い幕の内弁当の末席に控えているマカロニサラダのような味覚であり、このマヨネーズを水でのばしたような調味が原因で世界は闇に包まれるかもしれません。
デザートは「冷やし台湾カステラ バニラアイス添え」なのですが、日本と台湾の関係の悪化が懸念されるほどの出来損ないであり、コンビニのチーズ蒸しパンのほうが余程美味しいでしょう。
食後のお茶はアイスコーヒーをチョイス。氷がたっぷり入って良く冷えており、リンゴシャーベットと肩を並べる美味しさでした。

以上を食べ、税込3,350円。雰囲気のある建物で皿数も多く、一見悪くないディールに見えるのですが、素材への冒涜とも言える調理および調味が続き、具合が悪くなりました。当店の課題をエクセルで管理したいくらいでした。

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