ひとりあたりの麺類消費量が一番多いのは山形県民だと山形県民から聞いたことがあるのですが、その山形の中でも摂取する麺の種類には違いがあるらしく、ここ庄内地方では「麦切り」なる麺を食べるらしいです。さて今回はその「麦切り」の名店「寝覚屋半兵エ(ねざめやはんべえ)」にお邪魔します。
十数台分の駐車場に規模に比例して、店内も大そう広く、テーブル席とお座敷を含めれば100席を超えるのではなかろうか。それでも週末のピークタイムには待ち順列が生じるというのだから恐れ入ります。
メニューはこれ以上無いくらいにシンプルで、「麦切り」と「生そば」の2種しかなく、あとは量と盛り付けの違いだけです。ツマミや天ぷらなども用意されておらず(それなのにアルコール類は豊富)、血糖コントロールが極めて難しい飲食店と言えるでしょう。
せっかくのなので「麦切り」と「生そば」の両方を注文。いずれも750円です。生麺を注文が入ってから茹で始めるのか、思いのほか時間を要しました。グループで訪れた際には山形名物の板そばならぬ「板麦切り」という形でプレゼンテーションされるようです。
まずは「生そば」から。うーん、これは別に不味くはありませんが美味しくもないですねえ。小麦の比率が高いのか蕎麦の風味に乏しく、学食やドライブインで食べるそれに似た味わいです。これは注文する必要なかったかもしれません。
主題の「麦切り」。パっと見、細目のうどんといったところですが思いのほかコシがあり、また、喉越しも良いです。弾力のある冷麦といったところでしょうか。こちらもそれなりに美味しいのですが、丸亀製麵などのチェーン系うどん店のそれよりも美味しいかと問われると、うーん。
ちなみにつゆは共用で、ワサビとカラシが付いてきます。ショウガならギリ理解できるのですが、カラシはハッキリ言って微妙でした。私はワサビ派。お漬物はレベルが高く、本日一番のお皿でした。
そば湯も付いてくるのですが、マナーとして出している感があり、それほど蕎麦の風味は感じられず。そもそも「麦切り」の専門店だから小麦の風味が支配的で、それはそれで正しいのかもしれません。「名物に旨い物なし」という格言が心に響いたランチでした。もちろん750円でそこそこの量の麺類を食べれることを考えれば悪くないディールと言えなくもありません。加えて庄内空港から車で10分ほどであり、また、クラゲで有名な「鶴岡市立加茂水族館」からも近いので、それらの前後に立ち寄ることができるという意味で、旅行者にとっては便利な存在かもしれません。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。