加賀屋別邸 松乃碧(かがやべってい まつのみどり、宿泊)/和倉温泉(石川)

和倉温泉の王者「加賀屋(かがや)」。石川県はもとより全国的に知名度の高い旅館であり、「日本一のもてなし」を受けることができる宿として絶大な知名度と人気を誇ります。
今回はその加賀屋が2015年に開業した「加賀屋別邸 松乃碧(かがやべってい まつのみどり)」をご紹介。部屋数を30ほどに絞った子供NGのスモールラグジュアリー。宿の名前は玄関口にある松が昭和天皇にゆかりがあるとかそんな感じだったはず。
チェックインはロビーのソファでくつろぎながら。当館は「オールインクルーシブ」を掲げており、食事中はもちろん、ロビーや部屋の冷蔵庫の飲み物や菓子類は全て込み料金です。
部屋は、うーん、ダサいです。古い旅館を無理くり改装したような趣があり、隠しきれない昭和の香りが漂います。同じ価格帯の「パークハイアット京都 (Park Hyatt Kyoto)」などと比べるとどうしても見劣りします。
眺望は素晴らしいですね。まさにオーシャンビューと評すべき絶景であり、手を伸ばせばすぐそこに七尾湾があります。ちょっとしたクルーズ旅行の気分です。
だがしかし振り返るとダサい。テレビとマッサージチェアがあかんのかな。デスクはあるにはあるのですが、椅子の座り心地は悪くPC作業には向きません。
ミニバーへ。前述の通り当館は「オールインクルーシブ」なので、部屋の中でのコーヒーやお茶はもちろん、ビールや日本酒、ハイボール、スパークリングワインまで充実しています。カクテルなどのややこしい飲み物は1階のバーで楽しみましょう。
ウェットエリアも頑張ってリフォームしているものの、親戚の家のような手頃感が拭えません。
お部屋にお風呂もついているのですが、大浴場があるので使用しませんでした。
トイレは独立型でウォシュレット完備です。
さて当館には「得寮庵(とくりょうあん)」という江戸時代末期に建てられた立派な茶室があり、宿泊客は茶道体験を楽しむことができます。
着物をビシっと来た先生がお茶を点ててくれるのですが、希望すれば椅子を用意してくれたり、気さくなオバチャンが建物に係る逸話やお茶の作法についてもカジュアルに解説してくれるので楽しい。
高級な宿になるほど「ウチの宿はすごいんやで」と人を緊張させる慇懃無礼なサービスになってしまうものですが、この、親しみやすく居心地の良い雰囲気を創り上げる接客は見事。名門加賀屋の凄味を見た気がします。
大浴場もやはり絶景(写真は公式ウェブサイトより)。かなり広々とした露天風呂ならびに内風呂であり、全31室という客室数を考えれば贅沢な空間使いです。私は一度として他のゲストとかぶることはありませんでした。
湯上りはもちろんビール。私は缶のクラフトビールを頂きましたが、もちろんグラスでの生ビールもあります。地元の「能登ミルク」のアイスも自由に食べていいのが嬉しい。
夕食は2階のダイニングで頂きます。居酒屋に毛が生えた程度の料理ですが、1泊10万円で、2人で泊まるのでひとりあたり5万円、夕朝食がついて常に飲み放題ということを考えれば、まあ、こんなものでしょうか。詳細は別記事にて
食後はロビーラウンジでバータイム。もちろんこちらでの飲み物も込み料金です。中途半端なホテルのクラブラウンジであればラウンジ乞食が溢れかえるものですが、やはり当館はその敷居の高さからか「飲み放題やでえぇぐへへへ」みたいなゲストはひとりも居ませんでした。
我々は当館のオリジナルカクテルを中心に数杯頂きました。飲み物だけでなくツマミも用意されており、合鴨ロースなどは絶品の域です。
朝起きると目の前に海が。やはりこの眺望や浮遊感は筆舌に尽くしがたい。
朝食は再び2階のダイニングへ。偏差値で言うと夕食よりも朝食のほうが高い気がします。アジの一夜干しなんてもう絶品。「アルコールも飲まれますかぁ?」と給仕に煽られるのですが、私はこのあと運転があるので断腸の思いで断腸です。
つい先日泊まった佐渡島の「Ryokan浦島」で酷い目にあったので、和風の高級旅館に滞在することにつきトラウマめいたものを持ってしまっていたのですが、当館はその障碍を綺麗に払拭してくれました。

欧米系の新作ホテルに比べるとどうしてもハコはダサく感じますが、心のこもった接客姿勢は外資系とはまた違った魅力を感じました。親を連れてのありがとう旅行とかに良いかも。いっぱい飲むので肝臓を整えて訪れましょう。

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「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。