ロスタル(L’OSTAL)/金沢駅(石川)

金沢駅から徒歩10分ほど、金沢別院の向かいにあるフレンチレストラン「ロスタル(L’OSTAL)」。開業は2013年ですが2022年に内外装を大幅にリニューアル。
店内は緩やかに弧を描いた間取りであり、他のゲストと視線が交錯しないのが良いですね。キッチンの様子も丸見えであり臨場感抜群。テーブルの引き出しにカトラリーが収まっているのも今風です。

舘里美シェフは富山県出身。東京のジビエの有名店「ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ」で経験を積んだので、当店もジビエを用いた料理が自慢です。シェフも狩猟免許を保有しており自ら狩りにでることもあるそうです。
ソムリエはシェフの旦那様で、ワインのペアリングを提案してくれます。5杯飲んでも5千円かそこらであり、しかもお料理にピッタリ来る。やはりシェフとソムリエの連携がきちんと取れている店はいいですな。もちろんボトルでの注文も可能であり、今日びシャンパーニュが8千円台~というのは珍しいかもしれません。
アミューズから早速キジがやって来ました。クリーミーな舌ざわりではありますが隠しきれないパワーを感じる味覚。新じゃがを土台とした茄子のペーストもお洒落な味わいです。
こちらはゴールドラッシュ(トウモロコシ)のブルーテ。ドロっとした口当たりが濃厚な風味を期待させ、その期待を凌駕する強い甘味。少量の液体ながら存在感のあるひと品です。
岩ガキ。3つにカットされて供されるほどの特大サイズ。レフォール(西洋わさび)のクリームが濃密な牡蠣の風味に寄り添い、大量の土佐酢のジュレで余韻を回収していきます。冷前菜ながら実に食べ応えのあるひと皿です。
シャルキュトリー特集。イノシシ・シカ・キジと、あと一歩で花札でもできそうなラインナップです。ひとつひとつの食材がいちいち濃厚なのですが、それぞれ味覚の方向性が異なるのが面白いですね。
こちらは花ズッキーニに詰め込んだ羊に鹿。とりわけ羊のミルキーな風味が心に残りました。ワインにも良く合う。
お魚料理はアマダイ。輪島産のものであり船上で活〆にしたものだそうです。まるで鮨屋や日本料理店のような贅沢な素材使いであり、ピンの食材をフレンチの濃厚なソースで食べる贅沢さと言ったらありません。
肉に戻る。兵庫県は朝来市で獲れた本州鹿とフォアグラをパートフィロ(パリパリの薄皮)で包みます。シカの味わいがフォアグラを圧倒するほどのタフさであり、ソースもこれまた頑強です。悪目立ちしがちなフォアグラの味覚を上手く抑え込み、全体としての調和を持たせた逸品です。
肉料理の大トリは富山県黒部市で獲れたイノシシ。うひょー、この肉もバリ旨いっすねえ。ムッキムキにマッチョな個体であり噛むほどに肉の旨味があふれ出てきます。ポーションこそは大きくありませんが、その圧倒的な存在感は何ものにも代え難い。この迫力は家畜では絶対に表現できないでしょう。
デザートは旬の果物にキャラメルのアイスクリーム。グランメゾン系の派手派手しさはありませんが、これまでの肉料理の存在感がつよつよなので、これぐらいのシンプルな味覚のほうが、かえって余韻を楽しめて良かったです。
チョコ系のしっとりした焼き菓子に葡萄のリーフティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコース料理が1.1万円でワインのペアリングが5-6千円で、サービス料(?)やら何やらでお会計はひとりあたり1.8万円ほど。グワーッ、これはちょっと信じがたい費用対効果ですね。東京で同等の料理ならびにワインを楽しんだとしたら3万円は覚悟しなければならないほどの完成度です。ジビエを主体にするなどキラーコンテンツもハッキリしており、つい人に紹介したくなるコンセプトです。

旅行者が金沢に来るとつい海鮮系の食事に行きがちですが、2度目3度目の金沢であれば是非当店でフランス料理を。オススメです。

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「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。