ジブンチ(jibunchi)/片町(金沢)

玉川町にあった「トラットリア チカーラ」が中央通町へ「ジブンチ(jibunchi)」として移転リニューアルオープン。片町のスクランブル交差点から歩いて5分ほどに位置し、ファサードは全面引き戸のガラス張りとオシャレ昭和なテイストです。
店内は思いのほか広く、入ってすぐの厨房前のカウンターが5-6席、店内奥にテーブル席が15-16席はありそうです。女子率高し。
飲み物は安く、しっかりした量のハートランドが600円に、グラスワインも1杯千円かそこらでしょう。ソムリエールの感じが良く、思いのほか杯を重ねてしまいました。
前菜はひとり2千円で、4皿が自動的に出て来ます。まずはブッラータ風チーズと桃。いずれも石川県産であり、乳製品のコクと桃の蜜のような甘さがマッチして、アシェットデセールのような存在感を放っていました。
お米のサラダ。山本啓介シェフはご実家が農家を営んでいるそうで、野菜や米など実家産のものが多い。滋味あふれるお米の味わいに旬の味の濃い野菜たち。トッピングはサバのコンフィで、頑丈な旨味を湛えています。
アスパラのオムレツ。なんと卵まで実家産であり、私の外食経験において(「Blue Hill At Stone Barns」のようなコンセプトありきのレストランはさておき)実家が鶏を飼っているパターンは初めてかもしれません。
ポルペッティ(肉団子)はイノシシ肉。なんとシェフは狩猟免許まで持っているそうで、実家を含めてドラえもんみたいな料理人である。パワフルな肉の風味に軽いトマトの酸味が良く合います。
シェフのスペシャリテは肉料理。私はランプをチョイス。厨房にはレンガ造りの焼き台があり、ジュワジュワと炭火で肉を焼いてきます。焦げ目の香ばしいかおりに赤身と脂身のバランスの良い牛肉。量もたっぷりで原始的な食べる愉しみが感じられました。
〆にパスタを注文。自家製手打ちのキタッラを、スルメイカと共にプッタネスカ風に調理しています。ちょっとしたピリ辛風味が食欲を刺激し、もうひと口あとひと口と食べる手を止めさせません。
サービス(?)でスイカのソルベをお出し頂けました。元気一杯の甘味にジンの草っぽい風味が響き、夏真っ盛りの味わいでした。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は1万円強。これはちょっと計算を間違えているんじゃないかと心配するほどお値打ち。これはかなり盛大に飲み食いした結果であり、一般的な飲食量であれば7-8千円に落ち着くことでしょう。

食事についても素材に正直な調理および調味であり、その素材の質がいちいち高いので、つまり最強ということです。つまり最強ということです。大事なことなので2回言いました。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。