厨房を取り囲むカウンター席が20席弱にテーブル席がいくつか。奥にはお座敷もあるようです。予約ナシでも入れないこともないのですが(末尾の写真は雨の中、駐車場に張られたテントの中で順番を待つフリーの客)、予約して訪れたほうが確実でしょう。
お酒につき、日本酒は1合で千円前後と、このあたりの居酒屋としてはやや高めです。グループでの予約であれば飲み放題プランもあるようなので、よく飲む方は予約時に相談しておくと良いでしょう。お通しはバイ貝で、しっかりと味が沁みていてお酒によく合います。
名物の桶盛りのお造り。大勢で訪れれば訪れるほど盛り上がる盛り付けですが、おひとりさま向けのミニ桶も用意されています。この日のお魚はタコ、カジキ、甘海老、タイ、がんど鰤。なるほど居酒屋と呼ぶにはクオリティ高杉であり、下手な割烹料理店よりも余程上質です。
揚げ物3種盛り。この日は鶏肉の梅紫蘇揚げ(?)に白海老のさつま揚げ(?)にイワシの春巻き(?)です。ハテナばっかりでスミマセン、正式名称を失念してしまいました。中でも春巻きが良いですね。イワシの苦みが大人の味わいです。お造りのがんど鰤が良かったので、あら炊きも頂きました。ちなみに「がんど鰤」とは鰤の若魚であり、北陸ではそう呼ぶそうです。関東ではワラサ、関西ではメジロといったところでしょうか。ゼラチン質の部分がプルンプルンで、私もプルンプルンしてきました。
〆のお食事(?)にしめ鯖サンド。脂と酸味たっぷりのしめ鯖の主張が強く、サンドというよりも酒のツマミですな。トルコあたりのサバサンドとはまた違った方向性でした。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は8千円強。おわ、思ったよりも高くつきました。それでも魚の質そのものは大変高かったので、妥当と言えば妥当かもしれません。ここでしか食べることのできない唯一無二の、というわけではなく、地元の人気居酒屋といった扱いであり、福岡で言うところの「せいもん払い」といったポジショニングでしょうか。県外のゲストを迎えるカジュアルな飲み会にどうぞ。
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北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾 ←能登半島にゴールデンルーキー現る
- レ・トネル(Les Tonnelles)/金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
- ベルナール(BERNARD)/金沢 ←デジタルNG。大切な方と素敵な時間を過ごすためにどうぞ。
- ロスタル(L’OSTAL)/金沢 ←2度目3度目の金沢であれば是非当店でフランス料理を。
- Installation Table ENSO L'asymetrie du calme(インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム)/金沢 ←ただ単にお値打ちというだけでなく、料理のひとつひとつが大変凝っており、しっかりと美味しいのが素晴らしい。
- A_RESTAURANT(ア レストラン)/金沢 ←イノベーティブ・フュージョン系では頭ひとつ抜けている。
- 味処 大工町 よし村/金沢 ←どこかの石油王の予約と取り違えているのではないかと心配したレベルの満足度。
- 銭屋(ぜにや)/金沢 ←金沢でしっかりとした日本料理を食べたいのであれば、いの一番に検討すべきお店。
- 鮨処あいじ/金沢 ←ガタッ!と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定。
- 乙女寿司(おとめずし)/金沢 ←我が心の北陸ナンバーワン鮨屋。
- 壽司 なを㐂(すし なおき)/金沢 「金沢で良い鮨屋ない?」と東京の人間に聞かれれば、いの一番に推したい鮨屋。
- 蕎味 櫂(キョウミ カイ)/金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)/七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。
- ラトリエ・ドゥ・ノト (L'Atelier de NOTO)/輪島 ←まさに「能登の食材を紹介する媒体」。