池下駅を出て徒歩数分の場所にあるフランス料理店「オリヴィエオドラン (Olivier odorant)」。店名はフランス語で「金木犀(キンモクセイ)」という意味です。
店内はカウンター6席のみであり、店主がワンオペで大忙し。ワインの抜栓などドリンクを用意する際に調理が滞り、場面でかなり待たされるので時間に余裕を持って訪れましょう。また火元からの距離に拠るのかもしれませんが、私の座席は妙に暑く、途中から意識が朦朧としてきました。
ワインが高いですね。グラスのシャンパーニュが2,200円で、しかも容量は100ミリリットル。またペアリングは30ミリリットルが4杯で4400円と、一般的なグラスワインが1杯120ミリリットルであることを考えるとべらぼうに高価です。こういうお店では規格がハッキリしたビールを飲むのがいちばん。
前菜はニンジンを液状化して固めたもの(?)にウニをトッピングし、バニラの風味をきかせます。味そのものは悪くないのですが、灼熱地獄の中で食べる味覚としてはヘヴィすぎました。
トウモロコシのスープにはフロマージュブランを用いた塩アイスを浮かべています。ひんやりとしていて舌に気持ちいい。
三河産のウナギを炭火で焼き、スイカのソースで頂きます。このお皿はダメダメですね。ウナギが真っ黒こげで苦味しか感じられず、付け合わせのゴーヤとあわせてニガニガな味覚でした。
また炭火の煙でゲストがガンガンに燻されるため、暑いを通り越して目が痛くなってきます。パンに添えられるバターも熱でドロドロに溶け始めます。
テナガエビを揚げたもの。ベニエの生地にピスタチオが練り込まれており面白い試みです。美味しいだけにもう少し量を食べたかった。
黒アワビと白ナス。アワビのむっちりとした食感と白ナスのトロりとした舌ざわりが良く合います。こちらも美味しいのでもう少し量を。
アマダイは夏野菜と共にブイヤベース調に。アマダイそのものは悪くないのですが、他の部分が温度も調味もボンヤリしておりピントのボケた味わいでした。
メインはラム。惚れ惚れするほど盛り付けがダサいです。仔羊そのものの香りはよく脂の甘味も心地よいのですが、トリュフに香りが一切感じられず、これならトリュフいらんくない?というお気持ちです。
デザートはココナッツのブランマンジェ。パッションフルーツのアイスが室温で秒で溶けてしまうので瞬で食べなければいけません。
こちらはタルトの部分にカダイフを用いているのですが、生地にコクが無く食感もモシャモシャなので企画倒れでした。普通のタルトでいい。
お茶と小菓子でフィニッシュ。ごちそうさまでした。
料理の良し悪しを語る前に、灼熱のなか煙に巻かれながら食事をするというコンセプトに具合が悪くなりました。酒も高過ぎる。料理についても部分的には良いのですが、皿出しのテンポが悪く量も少ないのでリズムに乗れない。もっと皿数を減らしてひと皿ごとのポーションを増やしたほうが記憶に残るような気がしました。
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