料亭 能登新(のとしん)/村上(新潟)

創業は1777年、江戸時代から続く村上の老舗料亭「能登新(のとしん)」。村上の中心部の少し外れた場所に位置し、バリかっこいい入り口です。すぐ近くに駐車場がたっぷりあるので、レンタカーで訪問するのも良いでしょう。
ザ・料亭といった佇まいなのですが、軒先に塩引き鮭が吊るされているのがザ・村上ですね。お庭のグリーンも目に優しく気持ちの良い空間です。
せっかく村上まで来たので、村上名物の鮭を多用した「鮭の会席ランチ」を注文。5千円です。「酒びたし」を始めとする郷土料理がずらりと並び、旅行者にとっては堪らないラインナップです。鮭の心臓とか超レアじゃん。
蒸し物は鮭のみぞれ蒸し。鮭の美味しさはもちろんのこと、丁寧な調理と上品な味付けに好感が持てます。
お造りは旬のものとしてマス。じっとりと深みのある味覚に土佐酢のジュレがよく合います。
続いて軽く表面を炙ります。味わいに凝縮感が生まれ、ああ、お酒が飲みたい(この日のハンドルキーパーは私です)。
鮭のしんじょうを茄子に詰め込み、カラっと天ぷらに仕上げます。ところで当店は料理の味もさることながらサービスも素晴らしいですね。これだけの大店でどうやってタイミング良く料理を供出しているのだろう。この天ぷらだって少しも待たされた記憶はなく、それでいて揚げたてのアツアツである。
焼き物も当然に鮭。一般的な焼き鮭とは異なり、しっとりと水分を含んだ焼き上がりです。
その流れでお食事セットも参りました。白米に焼鮭、お椀にお新香。これこれ、これですよ。
気前良くイクラまで付けてもらえたので、1杯目はシャケ定として、2杯目はイクラ丼として。至福のひと時。
デザートは黒蜜きなこプリン。この甘味も結構美味しくって、骨格のあるプリンの味わいに濃厚な黒蜜がベストマッチ。全体を通して当店は人が美味しく感じるポイントを知悉しているような気がします。
以上を食べ、税サを含めてひとり5,550円。驚きの費用対効果です。今回は夏にお邪魔しましたが、鮭料理が最も激しくなるのは10-12月であり、その時期にはさらに十数種類を加えた鮭尽くしを堪能できるとのこと。村上観光を検討されている方は必ず当店をルートのひとつに組み込みましょう。必ずです。

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